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8.15から −李燦−

真夜中にも努めて本をひらくのは
8.15からの習慣です

ひたすら勉強し、勉強しても
いつも自分が足りないようで
取り残されてしまいそうで

どんなに疲れても、寝そべる習慣は
8.15からは
遥か遠くへ捨ててしまいました

誰かが手まねきしているようで
誰かを待たせているようで
何だかたまらなく申し訳なくて

何もかも虚しかった、そんな表情も
8.15からは
ひっそりと消えてしまいました

たまたま起きた出来事や
つまらない事柄さえ 
そのすべてが私の分に思えて 
ただ大切に思えるばかりで

あぁ、
酒を飲んでは泣いてみた悲しい癖も
8.15からはすっかり
忘れてしまいました

限りなく大きなものに
深々と抱かれたようで
心がただただ、明るくて
はしゃぎまわるばかりで…

1946年(李燦詩集「太陽の詩」82年文芸出版社)

 リ・チャン(1910〜74)

 詩人。咸鏡南道北青郡生まれ。1920年代より詩作を始める。日本の立教大学、早稲田大学に留学するが、貧困と弾圧により中退。帰国後、本格的に詩作に取り組み「KAPF」で活動中に投獄。解放後は咸南日報社編集局長として従事しながら数多くの詩を発表。朝鮮文学芸術総同盟中央委員会副委員長などを歴任。抒情詩「国境の夜」「雪降る堡城の夜」などがある。(選訳・金栞花)

[朝鮮新報 2009.8.10]