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神戸で学生美術展・日本巡回展 健全な精神世界を表現

立体アートの展示も

 在日朝鮮生徒たちの美術作品を展示する第38回在日朝鮮学生美術展・日本巡回展が神戸展(主催=同実行委、後援=兵庫ひまわり信用組合、兵庫県立美術館王子分館・原田の森ギャラリー大展示室、10日〜13日)を皮切りに、来年の3月末まで日本各地10カ所で行われる。各地から応募された初級部から高級部の学生作品、1万2697点のうち、763点の入賞作品と多数の佳作、地方入選作品が展示される。

 それぞれの作品は豊かな感性が素直に表現されており、日常を切り取った作品からは生徒たちの健全な精神世界を見て取ることができる。また、内面を写し出した高級部の作品は息を飲む緊張感があり、豊かな創造性と確かな自主性が表現されている。生徒たちの成長を垣間見る見ることが出来るのも興味深い。

神戸展、1800余人が観覧

成功を喜ぶ関係者たち

 神戸展が13日に無事終了した。開催期間中の来場者は1800人を超える盛況だった。学父母、地元の同胞ほか、多くの日本市民が観覧した。

 神戸展では、兵庫県下をはじめとする朝鮮学校生徒たちの絵画、工作なども展示された。総数は1700点余り。中でも鉄材を溶接して創られた立体アートの直接展示は神戸展だけのもので、作品を観覧した同胞たちは本当に生徒たちの作品かと目を丸くしていた。作品に用いられた素材は鉄材のほか、点字ブロックなど多岐に渡る。

 特別金賞を受賞した金玲希さん(神戸朝高、2年)の作品「瞑想」は、鉄の板と厚い金網を用い「曲線」をイメージした作品で、静かな空間を演出している。

 金玲希さんは、「インスピレーションを大切に鉄との格闘のすえ、この作品が完成した。創作の過程は興奮の連続だった」と語る。そして、「芸術は違う自分を発見させてくれる」と話し、作品が受け入れられたことに安堵感と喜びを感じると語った。

作品の説明をする神戸朝高生と声明を聞く鳥取のメンバー

 在日朝鮮学生美術展実行委員会の朴一南委員長は金玲希さんの作品を、「偶然が生んだ出会いをうまく構築した」と評価し、「今年も感性豊かな作品が揃った。生徒たちの感性に触れてほしい」と述べた。

 神戸展には、鳥取県在日外国人教育研究会倉吉・三谷昇代表をはじめとする鳥取展関係者も応援に訪れた。昨年度の初開催に続き、日本の市民たちの主催で鳥取展は来年3月21日から米子市美術館で3日間行われる。

 三谷昇代表は、「バラエティーに富んだ題材は民族教育の広がりを象徴しているようだ。生徒たちは、自身を対象化しながらアイデンティティーを表現するなど、内面を写し出す力に優れている」と感想を述べ、「全国に散らばっている生徒たちだが、その作品から深いつながりを感じることができる」と指摘。また、朝鮮学校生徒たちの活躍はもっと日本社会に向けてアピールされるべきであり、そのための一助になりたいと語った。

 次の巡回先は、東京。25日から埼玉会館第3展示室で開かれる。(鄭尚丘記者)

[朝鮮新報 2009.9.25]