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入院日誌より「天使」 −金尚午−

雪のような
白い看護服に、白い看護帽
病室に入り
厳しく見つめるうら若き娘
まだ飲んでいない
薬の袋を持って近づき
「口をあけて!」厳しい命令口調で
幼子にしてあげるように
薬を飲ませてくれる
そして、にっこり笑う
限りなく純潔なその厳しさは
心臓の上に落ちた一滴の薄荷水
熱を冷ましながら
体中に染みわたってゆく
「天使を知っているかい?」
「天使は空にいるんでしょ」
娘は知らない
とうの昔に天使たちが
この地に舞い降りてきていることを

1985年
(金尚午詩集「我が祖国」88年文芸出版社)

 キム・サンオ(1917〜92)

 詩人。黄海南道海州生まれ。苦学で日本に留学し、帰国後独学で医師検定試験に合格、歯科医として働く。機関紙の編集に携わりながら数々の詩を発表。代表作に抒情詩「我が祖国」、歌詞「青山里に豊年が来た」「黄金の木、林檎の木、山に植えたよ」、小説「青い空」などがある。(選訳・金栞花)

[朝鮮新報 2009.10.5]