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〈食のはなしH〉 「弁当の日」

子どもの食生活、体格の比較

 2001年、朝大教育学部の学生が東京第1初中および東京第9初級の4、5、6年生と保護者約200人(回収率それぞれ86%、68%)を対象に食生活の実態調査を行った。

 内容は、児童の起床就寝時間、朝夕食の時間と内容、外食の有無、塾と食事など7項目。保護者に関しては調理の有無(朝鮮料理を含む)、外食、コンビニ、ファストフードの利用度、食卓の家族状況など6項目。そのうち数項目に関しては日本の児童のデータと比較してみた。

非行が問題になっている生徒の食生活の傾向

3食きちんと食べていない
決まった時間に食べていない
家庭料理がなく、あっても品数が少ない
主食、副菜のパターンがない
加工食品、冷凍食品、即席食品が多い
家族と一緒に食べていない
外食が多い
間食が多い
炭酸飲料、スナック菓子など糖類、穀類が過剰に摂取されている
10 野菜類と良質のたんぱく質が不足。成長期に必要なカルシウムやビタミン類はほとんど摂られていない

 まずは朝食の有無。朝食の欠食率が日本児童15%に対し、ウリ児童は4%。次にインスタント食品を食べる回数は、1週間のうち1度も食べなかったと答えた日本児童は3%、ウリ児童は48%。ウリ児童の男女比では男子のインスタント食品を食べた回数が高かった。続いて外食。1週間のうち1度も外食しなかったと答えた児童は、それぞれ40%、79%。最後に、「朝鮮の食べ物は好きですか?」との質問に、ウリ児童は81%が大好きと答えた。保護者に対する調査では92%が「手作りをする」、とくに50%相当の保護者が朝鮮料理を作ると答えていた。

 一方、07年度ウリハッキョと日本学校の男女の体格測定を比較したものがある(赤旗09.4.15)。

 日体大の正木健雄名誉教授によると、52年前は1歳分日本の方が身長が高かったと指摘していたが、今ではほとんど差がなく、高校生になるとウリハッキョの生徒の方が上回っていると示している。すなわち、給食制度のないウリハッキョの各家庭で、子どもたちの十分な栄養摂取にたゆまない努力をしている結果だと述べている(遺伝的要因も示唆)。

 さて、これらを総合してみると傾向として以下のことが言える(表参照)。

 第1に、ウリハッキョの学生は比較的規則正しい生活をしているということ。つまり基本的な生活習慣が確立されているので心身ともに安定している傾向が見受けられる。とくに起床就寝時間、朝食に関しては割合からするととても高いのではないだろうか。

 次に多くの家庭で朝鮮料理を意識的に作っていること。調査結果からウリハッキョの保護者たちが、食文化の伝承を通じて子どもたちにチョソンサラムとしての自覚を持ってほしいという強い願いを抱いていることが伝わってくる。

 ウリハッキョは毎日が「弁当の日」だ(一部を除く)。毎日のお弁当作りは大変だが、オンマの謝言、すなわち民族の味を刷り込ませ、継承させる大切な「積み重ね」作業でもある。筆者も毎日のお弁当作りが面倒で、日本学校の給食を何度うらやましいと思ったことか。しかし「食から教育環境を整えられる」と信じ、毎日の食事が子どもの体や生き方までも育んでいると思うようになってきた。この場を借りてウリハッキョの保護者たちに熱いエールを送りたい。

 ※上記の調査内容はあくまで割合の単純比較。各家庭のさまざまな状況を考慮すると、相互作用的に検討すべき事柄が必要なので、1つの傾向としてみていただきたい。(金貞淑、朝鮮大学校短期学部准教授、栄養学専攻)

[朝鮮新報 2009.10.16]