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「誰かのために頑張れるすばらしさ」 「宝ものはウリハッキョ」

 毎年恒例となっている、第14回日朝友好交換授業が今年も10月末に行われた。これは年に一度日本学校の先生たちが、北海道の「ウリハッキョ」で子どもたちのために特別授業をしてくれるというものだ。1時間目から4時間目までの間に、初級部から高級部まで毎時間違う先生たちが授業をしてくれる。そしてその日は公開授業にもなっているので、たくさんの日本人がウリハッキョの授業を観にやってくる。

 この日授業をしてくださった先生たちは17人。来校者数は120人近くになった。それだけでもすごいのに、これが毎年続いていて、しかも参加者が増え続けているということも驚きだ。

今年の特別授業の風景

 電車や車と同じように、何事も出発が一番エネルギーを使うというが、最初から関わってこられた日本学校とウリハッキョの先生方や、関係者の方々にはただただ敬服するばかりだ。

 変化の著しい日本社会において、なぜ、ここまで長い間たくさんの方々に支援していただいているのか。

 まさにそれこそが「ウリハッキョの魅力」であり、もっと深く言うならば、「同胞社会の持っている潜在能力」があってこそのことであろう。

 授業を担当したある先生は言う。「高級部生に『宝もの』は何か、という質問をしたら、当たり前のように『ウリハッキョ』と答えた生徒が4、5人いた。日本学校の高校生に同じ質問をしてもまず『私の学校』と答える生徒はいないだろう」と。さらにその先生のもとに、その授業を観ていた一般の参加者の一人が、「宝=マネーだと思っていたので、自分自身恥ずかしくなった」と言ったという。

 実は私自身も「ウリハッキョ」いや、「同胞社会」のおかげで、価値観を大きく変えることができたひとりだ。きれいごとと笑われるかもしれないが、「誰かのため」に頑張ることの素晴らしさに気づくことができたことは、私の人生にとって大きなプラスになり、そのおかげで毎日を充実して過ごすことができている。これはすべて「同胞社会」が私に身をもって教えてくれたことである。

 体調を崩せばまず真っ先に気づかってくれる素晴らしい同僚たち。サッカー部の長期遠征で家にいないときに、おいしい食事を子どもたちに食べさせてくれるオモニたち。そんな人たちに愛を感じないわけがない。

 先日、ある同胞の経営する焼肉屋さんに家族で行ったとき、値段があまりにも安いので、オモニに「もっと値段上げてもいいんじゃないですか」と言ってみた。するとそのオモニは「ソンセンニム何言ってるの! 今までどれだけ社会にお世話になってきたかしれないのに、今度は私が少しでもその恩返しをしたいの」。

 あぁ、なんて素敵な考え方なんだろう。その日わが家に暖かい風が流れたことは言うまでもない。(藤代隆介 北海道初中高サッカー部監督)

[朝鮮新報 2009.11.6]