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〈第42回在日朝鮮学生中央芸術コンクールから〉 部員の努力と卒業生たちのバックアップ

広島初中高 吹奏楽部

笑顔で写真に納まる部員たち(10月31日、大阪朝鮮文化会館前で)

 10月30〜31日にかけて行われた「第42回在日朝鮮学生中央芸術コンクール」では、各地の生徒たちが4部門ごとに練磨してきた成果を競い合った。

 広島朝鮮初中高級学校の吹奏楽部(中高)は、洋楽器の合奏部門で、金賞ならびに優秀作品に輝いた。

 現在、部員は中級部生9人、高級部生21人の計30人。

 長年の歴史を誇る同部だが、2007年以前の十数年間は、諸事情により同コンクールに不参加だった。

 しかし、同年から部のOBである黄金成さんと、崔甲龍さんが技術指導にあたり始めたことを機に、「ウリハッキョのコンクールに出よう」という部員と卒業生たちの思いが寄り合い、再びコンクールに出場することになった。

 07年は銀賞、昨年は金賞、そして今年は優秀作品に選ばれた。

 今年、洋楽器部門の審査委員たちからは、「日常から地道に基礎訓練をしっかりとやり、音色が洗練されていたり、調和がとれた響きを出せたりと、日々発展している」と評された。

 卒業生たちは技術指導だけでなく、部室を新しく整えたり、物心両面で支えている。

 黄さんと崔さんは、普段は休日を返上して土日に、コンクール前には2週間毎日学校に通い、指導をしたという。

優秀作品発表会では、「吹奏楽のための詩曲『リムジン河』」を披露した

 今コンクールの指揮を執った黄さんは、「しんどいと思ったことはない。生徒たちの一生懸命な姿を見ていると、やらなければならないと思うし、何より自身が楽しくて仕方がない。今では、生徒たちの成長が早くて、私が追い立てられるようにがんばっている感じ」と、笑みを浮かべる。

 2〜3カ月に1度、日本人の講師を招いている。講師は、「他の学校とは違い、朝鮮学校の生徒たちは柔軟性に長け、吸収が早く、人間性にあふれている」と絶賛しているという。また、同部のファンになり、ボランティアで指導にあたりたいという人もいるという。

 「それは、やはり民族教育の成果だと思う。人間形成がしっかりしているからこそ、技術も上達する」(黄さん)

 主将の金栄日さんと副主将の夫将樹さん(ともに高3)は、優秀作品に選ばれて、「うれしすぎて、胸が高鳴っている。一生懸命練習してきたかいがあった。部員みなの力と、卒業生たちの力添えのおかげ」と口をそろえた。

 また、「後輩たちにもこの伝統を継いでいってほしい。卒業後も力になりたい」(金さん)、「卒業生のみなさんの温かい指導には、心から感謝している。後輩たちには、僕たちの目標でもある『楽しく演奏する』という心を忘れないでほしい」(夫さん)と話した。

 今回、部員たちの努力と、多くの卒業生たちのバックアップが結晶となり表れた。

 今年8月に行われた「第50回広島県吹奏楽コンクール」では、崔さんが指揮を執り金賞を受賞した。

 来年1月には「第31回定期演奏会」を予定している。

 30人の部員たちは、「心をひとつに、ひとつの音楽を」と謳いながら、さらなる技術向上のため、日々奮闘している。(裕)

[朝鮮新報 2009.11.16]