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〈在日バスケ協会のページ〉 級部第12回、中級部第29回 関東学生選手権大会

 関東学生選手権が1月10、11、12の3日間、都内の3会場で行われ、441人の選手が熱戦を繰り広げた。初級部男子で西東京第2、女子で埼玉、中級部男子で神奈川、女子で東京がそれぞれ熱戦の末に優勝した。

初級部講評

−男子

 朝鮮学校ではメジャーなサッカー部をなくし、3年前にバスケットボール部を創部した西東京第2。速攻と高いシュート率、平面バスケットで強豪校を破ってきた同校はこれまで、幾度も決勝に進みながら涙を呑んできた。3年間の集大成ともいえる悲願の初優勝は、選手だけでなく、大応援団も感無量であっただろう。

 6年生が2人というなか、決勝で涙を呑んだ埼玉。予選から危なげなく勝ち進み決勝進出を果たしたが、西東京第2の攻撃のリズムを崩すことはできなかった。しかし、5年生も優秀選手賞を受賞するなど、今後期待の高まるチームだ。

 西東京第1と東京第4の3位決定戦は、両チームとも「必ずメダルを持って帰る!」という気迫にあふれていた。結果、西東京第1が前半16点のビハインドを跳ね返し、勝利した。

−女子

初級部女子決勝戦

 埼玉と東京第2の決勝は、今期(春、夏、冬)3大会で同カードの因縁対決。両チームには、とりわけて身長の高い選手がいないため、ガード、フォワード陣の活躍が目立った。

 圧倒的な強さで予選を勝ち上がった埼玉は、ゾーンプレスで東京第2を抑え、点差を広げていった。一方、東京第2はターンオーバーからの速攻を仕掛けるが、シュートは空を切るばかりだった。結局、フルコートを自由自在に駆け回り正確なシュートを決めた埼玉に軍配が上がった。

 1回戦でシード校の横浜を破りベスト4まで駒を進めた東京第1は、メダルをかけて東京第3との3位決定戦に臨んだ。試合は東京第1が序盤から素早いペネトレイトでリードを広げた。しかし、安定したガード陣とセンターのポストプレーなどで、徐々に点差を縮めた東京第3が勝利した。

中級部講評

−男子

中級部男子決勝戦

 予想通り決勝へと進み優勝した神奈川は、素晴らしいパッシングゲームを展開した。ショットの正確性も飛躍的に伸び、安心感すら与える。

 一方、大凡の予想を覆し、準優勝した東京は、伝統校としての意地を見せた。とくに、徹底したディフェンスファンダメンタルが光っていた。

 各チーム1、2年生の活躍が目立った分、東京第4、埼玉、西東京第1など新チームは今後、面白そうだ。

−女子

 東京がワンサイドで大会を締めくくった。個々の能力が高く、ディフェンスがしっかりしている。また、スリーポイントの正確性やリバウンド、スクリーンアウトなど手本になるプレーばかりであった。クリニックなどを積極的に取り入れてきた成果が現れていた。

選手権を観戦して

 今大会決勝戦のスコアだけを見ると、優勝チームの完勝と言える。しかし、試合内容を見ると前半を折り返すまで10点差以内でどちらに勝ちが転ぶかわからず、後半に点差が開くゲーム展開だった。

 バスケットボール競技で、最も大事な要素となるのは、シュートだ。今大会では、初級部の試合でアウトサイドシュートの確率が格段アップしていた。とくに、西東京第2は効果的に、このシュートを決めていた。

 昨今、ゴール下に密集し団子状態に固まったプレーが多く見られたが、アウトサイドシュートが的確に決まることで全体のテンポが飛躍的にアップした。

 中級部の試合では、女子チームに大型選手が増えた。女子決勝戦でのインサイドマン同士のポジション争い、リバウンド合戦、激しいコンタクトは、大変見応えのあるものだった。とくに、埼玉10番の選手は、エリア内からスリーポイントまでの広いシュートレンジを持っていて、フル出場するタフさがあり、ファウルトラブルもなくチームの中心選手だと十分に言える。

 また、東京のガード陣に能力の高い選手が多かった。5番の選手は身長、運動能力が高く、有能な大型ガードであるという印象を受けた。彼女たちのような大型選手が、これから高級部、大学チームの大きな戦力になると期待している。

 中級部男子では付焼刃のゾーンディフェンスがあまりにも目立ち、マンツーマンディフェンスが疎かになっていた。練習はしても実践に現れないこともあるが、それでは本末転倒。効果的なゾーンディフェンスを敷くことは不可能だ。ゾーンディフェンス以前に、やるべきことがあるのではないかと感じた。

 現に私自身、大学で指導していて入部してくる選手のディフェンス不足、基礎不足を痛感している。オフェンスでは致し方ないが、地道な努力と緻密な戦略によるディフェンスがあれば、強豪校相手にも勝機を見出せるし、さらにはそれを攻撃につなげることができる。攻撃と守備が表裏一体で織り成されるスピーディーな展開こそが、バスケットボールの最大の魅力である。(朝鮮大学校籠球部・権赫監督)

大会サポートした東京朝高籠球部

 3日間の大会を支えた東京朝高籠球部の姿は、在日同胞の学生大会ではごく一般的なことと言える。大会中、さまざまな作業を黙々とこなし、後輩らを熱心に指導している姿は、実に頼もしい。初・中級部大会成功の影に、彼らの隠れた活躍があった。

 東京朝高籠球部には、公認審判を目指し審判活動を行っている生徒が数人いる。すでに、2人の高3生徒が日本公認審判員として活躍しており、今大会にも公認審判員を目指す2人の生徒が審判員として参加した。

 高校生らしく、清々しい真摯な態度で選手と接する姿は、新たな公認審判員誕生を予感させた。日ごろからバスケットボールに精通し多面的に接することは、選手としてもチームとしても大きな成長が見込める要因のひとつだ。このような点に、東京朝高の伝統と安定した強さの秘密が隠れているのではないだろうか。

編集後記 「感謝の気持ち」

 今大会もたくさんの協賛広告をいただいた。昨今の不況にもかかわらず、子どもたちのためだけに「気持ち」なくしてはできないことだ。場の提供者であるわれわれも、精一杯の子どもたちに対し、より良い場を設けてあげたいという一心である。

 面談をしながら、「よくここまで大きくなったな、がんばってくれ、○○学校はどんな感じだ?」などと、よく問われる。子どもが卒業し直接的には関係がなく、試合も観戦しに行きづらい。そんな諸先輩方の激励には心温まる。

 全大会、最終日には本部席に必ず来ひん席を設けている。いつの日か、もっとたくさんの先輩たちに、純粋に観戦を楽しんでもらい、一緒に感動を味わいたい。そして、在日バスケ界を支えてきた諸先輩たちに感謝のあいさつをしたい。

 正直、われわれが協賛団体に還元できるものは何もないかもしれない。しかし、この大会を通じて学べたこと、バスケを通じて体得したものを、同胞社会発展のために活かせるようにすることが大切なのかもしれない。【コリアンバスケットボールネット編集部】

[朝鮮新報 2009.1.21]