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男子代表 W杯に向け調整 ブラジルのクラブと引き分け

「朝鮮サッカー発展に協力したい」

 【平壌発=文・姜イルク、写真・盧琴順記者】44年ぶりのサッカーW杯本大会出場を決めた朝鮮男子代表とブラジル・サンパウロ州に本拠地を置くアトレティコ・ソロカバによる親善試合が5日、平壌の金日成競技場で行われた。朝鮮代表は、安英学、鄭大世の在日同胞選手とホン・ヨンジョ選手など6人の主力選手を欠くなか、「サッカー王国」と呼ばれるブラジルのクラブチームと0−0で引き分けた。すでにW杯出場権を獲得している朝鮮は、来年の本大会を見据えたチーム強化に力を注いでおり、ソロカバとの試合もその一環として行われた。

厚い選手層を披露

幾度も好機を作ったキム・グムイル選手

 朝鮮は、130あるサンパウロ地域のリーグ戦で昨年優勝し、州の頂点に立ったソロカバを相手に実力伯仲の試合を展開した。

 前半5分、10分、16分、19分、20分、24分、34分、39分にMFのパク・ナムチョル選手、ムン・イングク選手、FWのキム・グムイル選手らが好機を作った。一方のソロカバも個人技を生かしたブラジルの伝統的な攻めを披露した。

 後半、朝鮮は精神力、忍耐力を生かし、スピードに乗った攻撃を仕掛けた。しかし、双方は得点機に決められず、一進一退の攻防の末、試合は無得点のまま引き分けた。

 前後半戦を通じ、朝鮮はボール支配率とシュート数などでソロカバを上回った。とくに、MFのムン・イングク選手とGKのリ・ミョングク選手の活躍は、観客に深い印象を与えた。

 試合後、キム・ジョンフン監督は「南米チームとの試合を経験する良い機会だった。主力選手がいなかった代わりに控え選手らが貴重な経験を積んだ」と試合開催の意義について話した。また、「今後も外国のチームと試合をし、チームをより洗練していかなければならない。W杯本大会で祖国の人民と在日同胞たちの期待に応える結果を出すため、監督としての責任と役割を果たしたい」と決意を述べた。

 ソロカバのカルロス・エドゥアルド・マランゴン監督は、「試合に勝とうと思っていたが、引き分けたことに満足している」と述べ、朝鮮代表の選手らについては、「スピードがあり一生懸命に走るという印象を受けた。世界のあらゆるチームと試合をして経験を積むことでW杯本大会では好成績を残せるだろう」と印象を語った。

 試合後、両チームの選手らは控え室で親善的な雰囲気の中、互いの検討を称えユニフォームを交換した。

 一方、両チーム監督らも握手を交わし、対話した。キム・ジョンフン監督が「南米のサッカーを経験する良い契機だった」と述べると、エドゥー監督は「W杯ですばらしい成果をあげてもらいたい。朝鮮のサッカー発展のため積極的に協力したい」と話した。

「期待に応えたい」

 今回の試合は、ソロカバ側の要請により実現した。朝鮮側はソロカバを招請する方式で試合を準備した。

 総連と在日同胞サッカー関係者らは、以前からソロカバチームとの交流があった。朝鮮大学校の学生らは02年夏に約一カ月間、ブラジルのソロカバを拠点に遠征を行い、今年6月には日本で親善試合も行っている。

 朝鮮とブラジルは01年3月に外交関係を結び、各分野における交流を深めている。今年に入り、朴宜春外相がブラジルを訪問、平壌にはブラジル代表部が設置された。

 ソロカバチームのワルディル・シフリアーニ副代表は、「サッカーを通じて両国間の交流増進に寄与していきたい。W杯が行われる南アフリカとサンパウロ州は、気候も似ているので、朝鮮の選手らがわれわれの本拠地で合宿をするとしたら、収穫が多いだろう」と話していた。

 一方、朝鮮代表の金光浩コーチ(在日本朝鮮人蹴球協会副会長)によると、今回の試合で朝鮮は、ディフェンスを重視することで失点を防ごうという作戦を立てていた。また、コンビネーション面でやや課題が残ったが、今後、世界各地での遠征を通じ全般のレベルをさらに上げていきたいと語った。

 高い精神力を発揮しゴールを守ったリ・ミョングク選手は10月のフランス遠征とソロカバとの親善試合を通じ、「自信がついてきた。来年のW杯では、『祖国の関門』を守るGKとしてゴールを許さないという決死の覚悟を抱いているので、在日同胞にもわれわれの活躍に期待してもらいたい」と話していた。

 また、ムン・イングク選手はソロカバ戦を振り返り、「南米チームの個人技は高かったが、われわれとしてはさらなる努力を傾けなければならない。W杯1966年大会で優勝候補のイタリアに勝ち、世界のサッカー界に衝撃を与えた先輩たちの魂を受け継ぎ、われわれも本大会で勝つことで、祖国の人民、在日同胞たちの期待にかならず応えたい」と決意を述べた。

 この日夜、朝鮮中央テレビは試合を録画中継した。

 一方、朝鮮のサッカー愛好家からは、安英学、鄭大世選手らを試合会場で見られなかったことを惜しむ声が多かった。

[朝鮮新報 2009.11.11]