〈サッカーW杯2010年南アフリカ大会〉 朝鮮男子代表 着々と進むチーム強化策 |
遠征、親善試合こなす 44年ぶりのW杯本大会出場を決めたサッカーの朝鮮男子代表。アジア地区最終予選(08年9月〜09年6月)を勝ち抜いた代表チームは現在、来年の本大会(6月〜7月、南アフリカ)に向けて着々と強化を図っている。本大会の組み合わせ抽選会は、12月4日に行われる予定だ。
全体がレベルアップ
アジア地区最終予選後、朝鮮代表はつかの間の休息をとり再始動した。 8月末、東アジアサッカー選手権準決勝大会に臨んだ。久しぶりの国際大会だった。 第1戦のグアムに9−2で勝ったものの、鄭大世選手が合流した香港との第2戦を0−0で引き分けた。最終戦(台湾戦)は2−1で勝利したが結局、決勝大会出場を逃した。 大会では、W杯出場という「大きな収穫」を得た余韻が抜けていなかったためか、攻撃的なプランで挑んだものの、とくにモチベーション面で課題を残した。 安英学、ホン・ヨンジョの両選手が所属クラブのチーム事情で出場しなかったこともあるが、代表選手らにとって手綱を締めなおすきっかけとなった。 10月には、チーム強化のためフランス遠征を行った。ヨーロッパ(国内2部リーグのFCナント)、アフリカ勢(コンゴ代表)と対戦し、それぞれ0−0で引き分けた。安英学、鄭大世、ホン・ヨンジョら主力選手が参加していないなか、控え選手の成長が見られ、チーム全体のレベルアップにつながった。 今月5日、平壌で行われたブラジルのアトレティコ・ソロカバとの親善試合は、南米トッププロのスタイルを初めて経験する現代表チームにとって貴重な経験となった。ちなみに、朝鮮チームがブラジルチームと平壌で対戦するのは1988年以来2回目のことだ。 試合で朝鮮は、ディフェンスを重視しカウンターで攻めるスタイルで臨んだ。フランス遠征同様に主力を数人欠いたが、ここでも控え選手が個人技を生かしたブラジルのサッカーに対応し、0−0で引き分けた。
勝利へ戦術をみがく
朝鮮代表がW杯で勝利するための課題は多い。今後、海外遠征や国内での練習を通じ、戦術をより強化していくことが求められている。 W杯予選のようなディフェンス重視のスタイルを基本にしながらも、密集地域での守備レベルを上げ、カウンターの威力を強化し、フランス遠征やブラジルチームとの試合で得た個々人のボディーバランス、動き出し、パスワーク、シュートの正確性などが連携プレーを向上させるうえでポイントになるだろうと、朝鮮のサッカー専門家たちは指摘している。 朝鮮代表は現在、南アフリカに遠征中だ。年明けからはふたたび欧州遠征を行い、チームをさらに強化していく方針だ。 朝鮮代表の金光浩コーチ(在日本朝鮮人蹴球協会副会長)によると、直近の強化策としては▼守備から攻撃への移行をより早め▼主力選手と同等の実力を持つ控え選手のレベルアップを図ってチームの層を厚くし、チーム全体の水準を高め▼欧州、南米をはじめ、各大陸の強豪チームと試合を重ね世界水準に慣れること−などがあげられる。 重要な基盤作り 1966年W杯イングランド大会のように、南アフリカで「千里馬朝鮮」の神話がふたたび生まれるのか。それは、在日同胞選手の活躍にもかかっているという見方も強い。 在日サッカー関係者は、朝鮮代表で中心的な役割を果たしている安英学、鄭大世の在日同胞選手が、朝鮮学校の学生、生徒たちに、今後朝鮮の代表選手としてW杯に出場できるという大きな夢を、現実を通して見せてくれたと話す。 アジア予選を通じ、チームの絆は強くなり、選手層の厚みが増したなか、年明けからの強化策は、W杯連続出場という基盤を作るうえで、重要な作業になるだろうと指摘する専門家もいる。 朝鮮代表のキム・ジョンフン監督は、「W杯出場だけで満足はしていない。本大会で結果を出し、祖国の人民、海外同胞の期待に応えたい」と語っている。(李東浩記者) [朝鮮新報 2009.11.18] |