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春・夏・秋・冬

 太平洋戦争で亡くなった日本人の遺族らが、靖国神社に対し合祀の名簿から親族の名前を削除するよう求めた訴訟の判決で大阪地裁は2月26日、遺族らの請求をすべて棄却した。東京と沖縄の日本人遺族、南朝鮮遺族らが各地で提訴している訴訟への影響が懸念される

▼遺族側は「無断で合祀され敬愛追慕の情に基づく人格権を侵害された」と主張。だが、村岡寛裁判長は「遺族が主張する感情は、合祀という宗教的行為による不快の心情か、神社への嫌悪の感情としか評価できない。法的に保護すべきとは言えない」とした。遺族の感情よりも神社の「信教の自由」を重く認めた司法判断だ

▼靖国神社は「国家のために一命を捧げられた方々を慰霊顕彰するため、神霊として一律平等に」祀っているという。だが、いうまでもなく「神霊」のほとんどは、日本の侵略戦争に駆り出されて亡くなった人々だ。朝鮮人のみならず、日本人のなかにも生前から「神霊」として祀られ「慰霊顕彰」されることを拒んだ人がいる

▼ソウル新聞は南朝鮮政府筋の話として、「靖国神社の霊璽簿以外の名簿から韓国人の名前を削除することで神社側と意見がまとまっている」と報じた。「信憑性に欠ける」と報道自体に懐疑的な声があるが、いずれにせよ、儀式用の「霊璽簿」に名前が残るのであれば、何の解決にもならない

▼日本政府は神社に対して氏名や所属を記した「祭神名票」(戦没者調査票)を提供していた。故人や遺族の意に反し、政教分離原則に違反して行われた無断合祀は即刻、取り下げられるべきだ。(天)

[朝鮮新報 2009.3.9]