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オバマ米大統領の登場でレトリック(修辞技法や弁論術と訳される)が注目されている。その影響か「論理的に話す」「論理的な文章を書く」ためのハウ・ツー本が書店で目立つ。密接に関連しているが、混同してはならない ▼レトリックは使い手の意図によって良くも悪くも働く。多くの人は相手を説得するために論理的であろうとするが、それはレトリックのほんの一面。現実には、論理を無視して情に訴えたり、嘘や誇張を用いた方が説得できることが多い。そこに人を欺く意図があれば、「詭弁」と呼ばれる。主張の説得力を格段に向上させることができる騙しのテクニック。まさに「トリック」だ ▼日本の政府やメディアは、朝鮮が人工衛星と主張している事実を歪め、ありもしない「テポドン」という呼び名を執拗に繰り返し「危険性」をあおり、それを破壊しなければならないと吹聴している ▼これは「ストローマン」(わら人形)と呼ばれる論法。自分に都合よく相手の主張を歪めたり作り上げたうえで、それに反論を加える詭弁の代表格。わら人形を架空の敵に見立てて攻撃することにちなんだもの ▼朝鮮は人工衛星打ち上げ計画を国際機関に通報した。すると日本政府は「人工衛星であれ国連決議違反」「他国の上を飛んでミサイル実験をした国はない」と嘘を重ね、「落ちたら危険。迎撃の準備は?」と問題をすり替えた。最終的に憲法、自衛隊法の解釈拡大、ミサイル防衛システムの整備、日米同盟の強化などに結びつけた。単純なトリックほど、無警戒な人は騙されやすい。(天) [朝鮮新報 2009.3.16] |