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春・夏・秋・冬

 5月21日から裁判員制度が始まるのを前に、日本各地の裁判所で一般市民が参加する模擬裁判が行われている。「難しい」という感想が多いようだ

▼致命的なのは「裁判の争点を理解するのが難しい」というもの。検察や弁護人が、法律用語をわかりやすく書き換え作成した資料を提供したというのに、この結果。裁判は一般市民にとって実に「難しい」ものだ

▼書面のやり取りが主な民事裁判の口頭弁論では、記号で呼ばれる文書の提出を確認し、次回期日を決めて終了ということが多く、傍聴しただけでは内容を理解できない。民事裁判の判決言い渡しは、「原告の訴えを棄却する」などの一言で、理由説明なく閉廷されるのが普通。せっかく足を運んでも1、2分で終了し、あっけにとられる傍聴者をよく見かける

▼「裁判を理解するのが難しいのは記者も同じだ」とは、「司法記者クラブ」詰め経験のある記者の言葉。注目度の高い裁判は、綿密に資料を読み込んで独自に取材するため、きちんと理解したうえで記事を書けるが、「そうでない場合は…」と言葉を濁す

▼公共施設の使用承認が取り消された問題で、東京地裁は東京都に賠償を命じる判決を下した。裁判長は裁判の争点、判決の理由などを丁寧に説明した。「地方自治体が民主主義の根幹を否定した」(判決文)事件の重大さを認識していたのだろうと、ある弁護士は指摘した。それに比べて、日本のメディアの注目度は低い。争点が明確で、「難しい」内容ではないはず。何か書いてはいけない事情でもあったのか。(泰)

[朝鮮新報 2009.3.30]