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春・夏・秋・冬

 4月某日、東京朝高グラウンドで行われたサッカー公式戦。平日ながらスタンドには数十人の同胞の姿があった。その中に人一倍大きな声援を送る同胞男性がいた。息子が出場するわけでなく、サッカー部OBというわけでもないという。だが試合後は、OBたちと酒を飲みながらサッカー談義に花を咲かせた

▼「幻の強豪」と言われた朝高の伝説的なエピソードは多い。今ではその伝説となった選手たちの子どもたち、孫たちが元気いっぱい、グラウンドを駆け回っている。今年プロになった選手の中には元朝鮮代表選手の子どももいる

▼日本の「全国大会」やクラブの大会に出場できなかった「伝説世代」は、子どもたちに夢を託す。東京中高、朝鮮大学校の運動場には人工芝や照明が設置され、公式戦が行われるようになった。子どもたちへの愛情の表れだ

▼試合となれば親たちも熱くなる。京都や大阪の朝高が「全国大会」に出場した時は、正月にもかかわらず5000人以上もの同胞が競技場に足を運び声援を送った。毎年行われる初級部の「コマチュック」も各地から駆けつけた父母たちの「応援合戦」で盛り上がる

▼深夜にまでおよぶサッカー談義。「これほど多くの同胞が自然に集まるイベントがあるか?」と問いかけられた。「同胞たちは、子どもたちから元気をもらうために出かける」。そこには応援とは別の大きな動機があった。朝高生は「同胞に力を与えたい」とよく口にするが、それがしっかりと伝わっている。朝鮮学校生徒たちの活躍を報じることの大切さをあらためて実感した。(天)

[朝鮮新報 2009.4.27]