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春・夏・秋・冬

 自民党拉致問題対策特命委員会は5月28日、朝鮮の核実験実施を受けてまとめた日本独自の追加制裁案を政府に提出。そのなかに「制裁に違反した外国人船員の上陸と、朝鮮に渡航した在日外国人の再入国の原則禁止」という内容がある

▼日本政府は4月に「制裁」の一年延長と追加を実施している。核実験を受け、さらなる「追加制裁」で体面を保つためには、人権意識を数十年前に逆行させてでも案を搾り出すしか手がなかったようだ。特命委の古屋圭司委員長から要請を受けた河村建夫官房長官は「法律上できるのか、しっかり検討したい」と応じた(時事通信5月28日)。およそ国会議員のやりとりとは思えない人権意識の低さだ

▼再入国禁止の議論は新しいものではない。「拉致」を隠れ蓑に朝鮮人を弾圧する連中の常套文句となっている。民主党の拉致問題対策本部は昨年、条件なしの再入国禁止を盛り込んだ制裁案を発表。在日朝鮮人を日本に閉じ込め、追い出す極端な内容だ

▼在日朝鮮人が定住国である日本に戻る権利は、日本人が日本に戻る権利と同様、自由権規約で定められている。さらに、国際人権規約委員会は、再入国許可制度自体を厳しく批判している

▼しかし、国会審議中の新在留管理制度に関する法案は、再入国許可制度の存続は言うまでもなく、外国人の再入国許可を緩和する「みなし再入国許可」の対象から、在日朝鮮人だけを除外することができる内容を含んでいる。この程度の人権意識しか持たない議員や政党同士が政権を争い外交を云々するなど、世界のお笑い種だ。(天)

[朝鮮新報 2009.6.1]