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春・夏・秋・冬

 2年ぶりに再開された北南の離散家族の面談。高齢の人たちが涙ながらに抱き合う姿をテレビで見ながらうれしく思う反面、再び別れることを思うと気持ちが重くなる。現地で取材したとき、別れ際に親兄弟の名を呼びながら手を離そうとしない人たちの姿に、分断の痛みというものを肌で感じた

▼離散家族の苦しみ、悲しみを少しながらも知っている分、日本のメディアの報道には怒りがこみ上げてきた。「韓国と北朝鮮の思惑が一致しての実現」「北が南に見返りを要求」など、植民地支配から朝鮮戦争に加担し朝鮮民族分断の一因を作ったという反省は、微塵も感じられない

▼「被害者全員を家族のもとに」と、拉致問題を取り上げる時には「人権」を振りかざし情けに訴えるメディアが、離散家族の再会についてはこうまで無神経になれるものなのか。ここ数年、第2次世界大戦の被害者としての立場を強調する風潮とも軌を一にしているのだろうか

▼日本の当局者が南朝鮮や中国の当局者と会った際によく口にする「未来志向」という耳障りのいい言葉があるが、過去を不問にするという意味では決してない。それを理解していればいいのだが、メディアの論調を見ているとそうも思えない

▼朝鮮がたびたび強調しているように、朝・日平壌宣言の基本は日本の過去の清算にある。「核、ミサイル、拉致の解決なしに国交正常化なし」などという問題ではない。政権引継ぎの際に、「平壌宣言は有効」という認識で一致しているだけに、日本には過去の清算に対する真摯な対応を求めたい。(国)

[朝鮮新報 2009.9.30]