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春・夏・秋・冬

 「ソウルには2万円で行ける時代なのに、なぜ平壌には…」。ある日本人の嘆きだ。玉流館で食べた平壌冷麺の味が忘れられず、その思いはやがて、対朝鮮制裁を行う日本政府への怒りに変わり、日朝友好への取り組みへと自身を突き動かした

▼制裁の一番の狙いは人の流れを止めること。朝鮮との往来により、日本社会にまん延する歪んだ「北朝鮮」観の誤りが浮き彫りになることを阻止したいわけだ。だから「万景峰92」号の入港を認めず、朝鮮籍者の入国を拒み、「北朝鮮への渡航を自粛」させている

▼かつて朝鮮通信使は、朝鮮と日本の敵対関係を解消するうえで大きな役割を果たした。最初の3回は、豊臣秀吉の朝鮮侵略に対する徳川政権の姿勢を問う「刷還使」、日本に連行された朝鮮人の返還が主な目的だった。過去を清算し、友好への扉を開いた400年前の平和的外交精神から今の日本政府が学ぶべきことは多い

▼10月16日に都内で開催された海外同胞大会に参加するはずだった中国地域の代表らが日本への入国を拒否された。「朝鮮の分断の根源は日本の植民地支配にある。日本は戦後もそれを償わず、米国を支え統一を妨害してきた」。大会の数日前に取材した日本人の言葉が思い出された

▼一方、東京や京都の地方議員たちが訪朝した。取材した際に焼肉を食べながら「次は玉流館で」と言って、日朝友好への熱い思いを語っていた議員たちだ。「地元に帰って朝鮮の人々の話や実情を伝えたい」「国交正常化に向けてさらに努力していく」。その一歩が新しい朝・日関係を切り開いていく。(天)

[朝鮮新報 2009.11.9]