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春・夏・秋・冬

 ベルリンの壁崩壊(1989年11月9日)から20年、ドイツで祝賀イベントが盛大に行われた。メルケル独首相は「自由を求めた多くの人々の勇気をたたえる」と演説。西側諸国は一様に「資本主義の勝利」を声高に叫んだ

▼10年前、当時シュレーダー独首相は、広がる東西の経済格差と互いに募る不信感を挙げ、「われわれは一つの国民だ」というスローガンは実現していないと述べた。周辺の東欧諸国も不況、貧富の差の拡大、福祉の縮小に苦しんだ。ユーゴスラビアでは民族・宗教紛争が続き、国が分裂した

▼世界銀行の報告書とそれを分析した記事によると、ロシアでは現在、「国民の最富裕層10%が国内総収入の約40%を占めているのに対し、最貧困層10%はわずか2%を占めているにすぎない」。経済実績は89年のわずか4分の3。他の旧ソ連諸国はさらに深刻で、グルジアとモルドバの国内総生産は89年の4割にまで縮小した

▼08年金融危機は、西側からの投資頼みで経済基盤の貧弱な国々を直撃した。旧社会主義国、旧ソ連諸国では失業者が急増。総人口のおよそ三分の一が貧困ライン以下にあるという。世界では12億人が一日1ドル以下で暮らしているというが、富が偏って分配されている

▼「資本主義の勝利」とは結局、英米が勝ち続けるため、弱肉強食のピラミッドの下層に新しいパイを組み込んだだけのまやかしだ。朝鮮大学校の教授が示した統計によると、朝鮮の国家予算は20年前を上回るまでに回復。「自力更生」で経済を立て直した朝鮮の存在は、「資本主義の勝利」に対する挑戦だ。(天)

[朝鮮新報 2009.11.16]