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言論の不自由な国−風穴を開ける努力を

 朝・日関係の正常化を心から願っている人々は、表面には出にくいがたくさんいる。しかし、今の日本は朝鮮問題について、ヒステリー症状を呈しており、国交正常化などと少しでも口にすれば、袋叩きにあうような言論の不自由な国だ。

 そんなときに、ジャーナリストの田原総一郎氏が「北朝鮮と交渉せよ」(朝日新聞6月13日付)と題する緊急寄稿文を発表した。中曽根外相に対して、朝鮮と交渉しないことを「強硬姿勢とでも錯覚しているのだろうか」と批判、「日本こそが米国、中国、そして北朝鮮と交渉すべきなのである。…対中国交渉、対北朝鮮交渉を実質的に米国に委ねているのは情けない限りだ」と憤慨している。

 巨大メディアが垂れ流す朝鮮問題の論調は、イラクやアフガンへの侵略戦争と同様、大量殺戮の果てに米国的なデモクラシーを打ちたてようとするもので、平和主義の観点が欠落している。ベトナム戦争、朝鮮戦争の米軍の出撃基地となり、戦争特需に酔いしれた日本のグロテクスさ。

 敗戦後60余年も朝鮮半島への植民地支配、分断の責任を全く果たそうとせず、過去に真摯に向き合おうともしない歴史への忘却ぶりは目を覆うばかりである。

 その中での田原氏のリアルな思考と歴史意識にもとづく発言は傾聴すべきものであろう。

 拉致問題をめぐる行き詰まりについても、先日、蓮池透氏が新著で、日本の核武装や北への先制攻撃まで主張する過激なイデオロギーを持つ「救う会」が、日本政府の対北外交に大きな影響力を及ぼしていることに疑問を投げかけていた。わずかではあるが風穴を開けようとする努力が続いている。

[朝鮮新報 2009.7.31]