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友人と出かけて

 先日、重度の脳性まひで車椅子生活をしている友人と出かける機会があった。少しの段差や坂にとまどい、「バリア」の多さを再認識させられた。目的地の車椅子用トイレを利用した際、普段、使用者がいないためか、半分物置状態になっていて、とても残念だった。障がいを抱える人の存在は、まだまだ日常からは遠い。

 友人は社会と切り離され、制限が多く、我慢を強いられることの多かった施設生活を拒み、公的ヘルパーにもほとんど頼らず、地域の友人たちのサポートの中で生活しているが、3度の食事をきちんとできるのは年に数回。大変さもあるが、地域社会と関わりながら、少しでも自由のある生活をしたいという。

 私の祖父は両目が見えない。視力を失ってすぐは散歩もしたらしいが、私は25年間一度も祖父が1人で外出する姿を見たことがない。ほとんど信号もない田舎なので、出かけるのには勇気がいる。

 今は病に倒れ右半身が麻痺し、老人ホームにいる。レクリエーションもあるが、祖父が楽しめるものは少なく、ホームに飾られている写真に祖父の姿はない。

 日本の政権交代で障がい者に関わる政策も変わるようだ。当事者の意見が反映された政策が打ち出され、ハンディを負った人が気軽に外に出て、もっと身近に、共に生きることができる社会に近づけば、と思う。

 それにしても、車椅子を押したり、少し友人を抱えて介助しただけで背中が筋肉痛になってしまった。私は握力はあるが、腕力がなく、腕立て伏せさえ一度もできない。少しは鍛えよう…。(徐麻弥、団体職員)

[朝鮮新報 2009.11.6]