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同胞法律・生活センターの連続「スキルアップ講座」 「保険証の無い超過滞在者の医療」

「一番悩ましい相談」について検証

 連続講座「知って役立つ相談員のためのスキルアップ講座」(主催=NPO法人同胞法律・生活センター、全4回)、第4回「保険証の無い超過滞在者の医療…入管政策と連動した社会保障制度の検証」が1月23日、同胞法律・生活センターで行われた(写真)。

 今回のテーマは、相談員にとって「一番悩ましい相談」「頭の痛い問題」。講師の高山俊雄・医療ソーシャルワーカー(ひまわり診療所)はまず、出生率の低下、少子高齢化を背景とする90年代からの人口構造の変化について言及、労働力の不足分を外国人が補うようになったと指摘した。

 一方で、80年代後半まではそれなりに日本人と同様の社会保障制度を利用することができたが、それ以降は利用できなくなったと述べた。

 これには、厚生省主催都道府県生活保護担当者ブロック会議(90年10月15日)を機に非定住外国人(短期滞在者、超過滞在者)に対して生活保護が準用されなくなったことや、国民健康保険施行規則に除外規定を盛り込んだこと(04年6月8日)などが挙げられる。

 講師は、困っている人を助けられない制度はおかしいと強調し、十分な学習と柔軟な発想があれば、今ある制度を使えるようにすることも可能だと示したほか、超過滞在者であっても緊急医療は優先されることや、行旅病人・行旅死亡人取扱法の適用範囲に加え、入院助産、教育医療、育成医療の各制度は非定住外国人も利用可能とする政府見解(「外国人の医療と福祉に関する質問に対する答弁書」)について解説した。また、申請そのものを受理しないのは「行政手続法」に反すると話した。

 参加した相談員たちは、質疑応答と相談事例を通して今後の活動のヒントを得た。(丘)

[朝鮮新報 2010.2.1]