太陽節記念社協シンポジウム「経済強国建設の新局面」 |
経済復興に向けて積極的な政策展開 太陽節記念在日本朝鮮社会科学者協会シンポジウム「経済強国建設の新局面」が17日、朝鮮出版会館で行われ、社協の金和孝会長をはじめとする会員や研究者、学生、同胞らが参加した。「強盛大国」建設と人民生活の向上のため朝鮮が講じている経済政策の現況やそれらの意義、生産・建設現場の様子や市民の反響について報告された。 活発化する対外経済活動 朝鮮大学校経営学部准教授の朴在勲氏は、積極的な姿勢をとる朝鮮の外資導入計画など対外経済政策について語った。 朴氏によると、朝鮮が示す社会主義経済強国建設の方向性と原則は「内部の源泉と可能性を残らず動員することを基本にしながら対外経済関係を発展させる」ものであり、対外経済事業の方向性は▼自主、自力更生の原則を堅持し▼対外進出の物質的土台を築き▼国内の力を基本にしながら必要な資金を外部から調達することだ。 シンポジウムでは、1月に第1回理事会が開かれた朝鮮大豊国際投資グループの活動に関する報告に注目が集まった。大豊グループは、3月に設立され国家開発銀行への投資誘致および資金源を確保する経済連合体として活動している。国家開発銀行は、国際金融機関、国際商業銀行と取引する現代的な金融の規範とシステムを備え、国家政策に伴う重要対象に対する投資業務とともに、商業銀行の機能を遂行する総合的な金融機関として活動する。また1月には、羅先市が特別市として指定され、羅先経済貿易地帯法が改定された。羅先も大豊グループの事業対象に含まれているという。 朴氏は、こうした朝鮮の対外経済政策が「強盛大国」建設を目指した中長期的なビジョンのなかにあり、地域経済、世界情勢の観点からも必要性が指摘されているものだと述べた。
人民生活向上への措置
一橋大学経済研究所研究員の文浩一氏は、朝鮮の貨幣交換措置と関連措置の経済学的意義について、2月の訪朝と、その際に朝鮮社会科学院関係者と会談した内容に基づいて語った。 文氏は、財政基盤を固め人民生活を安定向上させるために行われた貨幣交換措置の内容と、それに続く農民への優遇措置、価格の調整、女性の社会進出などの社会的労力資源の確保、中央銀行を中心とした貨幣流通体系の確立といった後続措置について言及。貨幣交換が行われた背景とその必要性、後続措置の効果を数式や統計、現地経済学者の見解に照らして解説した。 食料問題に関しては、農作物の国家買い取りシステムの見直しなど、朝鮮が食糧問題改善に向け講じた農民向けのいくつかの措置に関する解説があった。 文氏はこうした見方から、昨年実施された貨幣交換措置は、一連の後続措置とともに一定の期間を置いてその効果が判断されるべきだと指摘。過去に「デノミネーション」を実施したほとんどの国で、新制度導入の初期段階で一時的な混乱が生じたとし、南朝鮮や日本のメディアが流す「失敗説」を否定した。
経済建設の現場から
昨年12月から3カ月間、平壌支局に駐在した本紙特派記者は、大同江果樹総合農場と普通江商店、千里馬製鋼連合企業所と黄海製鉄連合企業所、熙川発電所建設現場など、経済建設に取り組む現場の様子を、写真やインタビューをもとに紹介した。 また、正月から多くの市民で賑わう平壌市内の百貨店や商店の様子、貨幣交換措置とその後の措置を歓迎する市民の声を紹介し、新制度導入の実務的手続きに起因する人々の困惑と、貨幣交換自体の成功、失敗に関する判断を混同すべきではないと指摘。生活費(給料)の支給、百貨店や商店を通じた国産商品の供給、食料・日用品の国定価格引き下げ、外貨交換・使用のシステム定着により、国内の経済活動が安定化していると強調した。 シンポジウムでは、積極的な外資導入や貨幣交換措置などは互いに関連し合うもので、2012年に「強制大国の大門」を切り拓く一連の流れのなかで実施されている政策であることが確認された。そして、人工衛星打ち上げ、住宅や発電所の建設ラッシュ、「チュチェ鉄」増産、CNC技術開発など「人民の理想」「社会主義理想」がさまざまな分野で花開いている経済状況から、人民は社会主義志向と「強盛大国」建設への自信を深めていると強調された。(李泰鎬記者) [朝鮮新報 2010.4.23] |