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参加者たちの経験 行事が生んだ一体感

「同じ朝鮮生徒」

昆虫採集について学ぶ生徒たち

 生徒指導を受け持ったのは各朝鮮学校の教員たち。いろんな地域、学校の生徒たちが集まる特殊な場で生徒たちをまとめた。生徒たちが楽しみ、有意義な経験をできるようにと教育現場の「プロ」としての手腕を発揮した。共に子どもたちの指導にあたった朝大、朝高生たちも、教員の存在の大きさをあらためて実感していた。

 そんな教員たちは、生徒たちが学校間の「壁」を乗り越え、すぐに打ち解けられた決定的な要因は、同じ朝鮮生徒という認識にあると強調した。

 四国初中の鄭善貴教員(29)は「ウリハッキョでは毎年、日本の学校と宿泊交流を実施しているが、その時と比べても仲良くなるのが早い」、康琴美教員(25)は「生徒数が少ないなかで、多くの同胞たちと出会えたことは貴重だ」と語った。

 土曜児童教室の講師も務める康教員は「日校生たちが大きくなった時、自分の周りに同胞の友人がいればどれほど良いことか。同胞社会の中で生きていくきっかけを与えられれば。ウリハッキョの生徒にとっても友だちであり、同じ同胞社会の一員となる存在だ」と述べた。

 鄭教員は「幼い頃の出会いや経験は、視野を広げるのにとても重要。生徒たちが楽しんで多くを学べば、それが必ず同胞たちに影響を与える。とてもありがたい企画だ。来年からも必ず続けたい」と述べた。

朝大、朝高生も活躍

広島初中高の校舎を見学する生徒たち

 行事の成功の影には、朝大、朝高生たちの活躍もあった。時に指導員として、時に兄弟、姉妹のように生徒たちと接し、企画の準備や力仕事にも積極的に取り組んだ。生徒たちは「2日間、一緒に過ごしてくれたお兄さん、お姉さんたちのようになりたい」と感謝していた。

 黄希奈さん(広島初中高高3)は、「疲れよりもたくさん学んで自分たちも楽しかったという印象の方が強い。有意義な行事をウリハッキョでできたことが誇らしい」と述べた。

 「幼い生徒たちが楽しく過ごしていたのでよかった。今の時期から仲良くすることで、みんな一緒に朝高に来てくれたらうれしい」

 朝鮮大学校の李美奈さん(教育学部3年制3年)は、鳥取の小学校に通っていた頃に参加した「サマースクール」で同胞たちと出会ったことがきっかけで岡山初中に編入した。それだけに同胞同士が出会う場の大切さを誰よりも知っている。

 「鳥取から参加した日校生たちは、初めは不安がっていた。でも実際に参加してみて、同胞生徒同士で過ごす楽しみを幼いながらも感じたようだ。生徒たちの笑顔を見るととてもうれしい」

 9月には朝鮮学校で教育実習を行うという。「今回、自分自身、貴重な経験をした。学んだことを実践で発揮できるよう準備したい」と語った。

青商会に感謝

 中四国の青商会では「ミレキャンプ」開催のためにチャリティー行事を企画し財源の確保に努めた。広報、企画準備、会場整理などをすべて引き受け「裏方」に徹した。参加者全員が着た揃いの赤い「ミレキャンプ」Tシャツを夜中に洗濯する幹事長たち、生徒たちが遊ぶ間にテントを張り、火をおこして焼肉の準備をする会員たちの姿があった。

 鳥取で午後夜間学校を受講する2人の子どもを参加させた姜武一さん(44、倉吉市)は、「子どもたちは初めて会う子たちの中で夜寝られるか不安そうだったが、すぐに仲良くなり夜中の2時まで話し楽しく過ごしたというからほっとした。(朝鮮人としての)『同じ血』が流れていることを子どもたちなりに感じているようだ。素晴らしい場を設けてくれた青商会と学校に感謝している」と述べた。日本学校を卒業した姜さんは、初めて訪れた広島初中高を見学しながら「施設もしっかりしていて素晴らしい学校だ」と述べていた。

 広島初中高の李一烈校長は、「ミレキャンプを通じ、同胞、生徒たちの一体感が生まれた。中四国で新しい経験を作った。民族教育の発展につなげていきたい」と述べた。

[朝鮮新報 2010.8.31]