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関東大震災朝鮮人虐殺から87年 関東各地で追悼会

 関東大震災(1923年9月1日)発生後、日本当局が意図的に流したデマなどによって数千人に上る朝鮮人が虐殺されてから87年が過ぎた。1日、関東各地で犠牲者を追悼する集会が営まれた。参列した同胞、日本市民らが歴史の真実をみつめ、2度と悲劇が繰り返されないよう交流と理解を深めていこうと誓った。

東京

犠牲者を追悼し献花する参列者たち

 墨田区の横網町公園内にある朝鮮人慰霊碑前では、「関東大震災朝鮮人虐殺87周年東京同胞追悼集会」が行われた。総連中央の朴久好副議長兼権利福祉委員会委員長、総連東京都本部の黄明委員長をはじめとする活動家と同胞、朝鮮学校生徒、日本人士らが参列した。

 集会では、参列者による黙祷に続き、黄明委員長が追悼の辞を述べた。黄明委員長は「東京に限っても約1400人もの同胞が朝鮮人というたったそれだけの理由で無残に虐殺された」と述べた。そして、事件から87年が過ぎたが、日本政府は真相究明をしようとしていないばかりか、むしろ過去の清算を拒み、民族差別と人権蹂躙行為を続けていると指摘。日本が犠牲者に対して謝罪し賠償するよう求めると同時に、朝・日平壌宣言に基づいた朝・日の関係改善の必要性を訴えた。

 続いて、日朝友好促進東京議員連絡会の代表があいさつ。日本政府が在日朝鮮人が祖国を訪問するための「万景峰92」号の入港を禁止し、朝鮮学校を「高校無償化」制度から除外するなど、差別と弾圧が続いている現状について指摘。日朝国交正常化を目指す友好運動を力強く推し進めることの重要性を強調しながら、「結束すれば必ずやり遂げられる。これまでしてきたことの正しさを証明することが犠牲者への供養となる」と述べた。

 若い世代を代表し、朝青葛飾支部の韓承ミン(日へんに民)総務部長と東京朝鮮中高級学校の金華暎さん(高3)が、歴史の真実を胸に刻み朝鮮人として堂々と生きていく決意を述べた。

 最後に参列者全員が犠牲者を追悼し献花した。

 これに先立ち、日本市民らが主催する追悼式が営まれた。

埼玉

 埼玉県では、本庄市、児玉郡上里町、熊谷市の主催のもと、長峰無縁墓地、安盛寺、メモリアル彩雲でそれぞれ挙行された。

 追悼式には、総連中央の高徳羽副議長、総連埼玉県本部の趙一衍委員長と同胞たち、吉田信解本庄市長、関根孝道上里町長、富岡清熊谷市長をはじめとする地方自治体職員、本田平直衆議院議員、小林哲也、田並尚明、森田俊和、丸山真司県議会議員、新井昭安熊谷市議会議員が参加した。

 各首長らによる慰霊の辞に続き、総連北部支部李尚魯委員長と李三鉉顧問が主催側と参列者らに感謝の意を述べた。

 市、町長らは、過去への深い反省のうえにたち歴史の風化を防ぎ再びこうした惨禍が繰り返されないよう、今後、諸外国との真の相互理解、友好発展のための活動にいっそう努めていくと話した。

 また、李委員長は、「韓国併合」から100年を迎える今年、あらためて過去の歴史に目を向け教訓を学ぶべきとしながら、一方で、戦後60年がたった今日にいたっても、朝鮮と日本の間には植民地問題がいまだ残されたままだと指摘。「政治情勢が複雑化するほど、在日同胞と日本市民が互いに信頼を深めていくことが重要」だと語った。

 参列者らは犠牲者を偲び、花をささげた。

千葉

同胞の運動と市の協力で建てられた馬込霊園の慰霊碑

 船橋市営馬込霊園で行われた「関東大震災87周年朝鮮人犠牲者追悼式」には、総連千葉県本部の河秀光委員長と各支部委員長をはじめとする同胞たち、川本幸立県議と船橋、市川、鎌ヶ谷の市議、各政党関係者をはじめとする日本人士らが参列した。

 初めに、地震が発生した時刻(午前11時58分頃)に合わせ黙祷が捧げられた。

 続いて、総連西部支部の文剛委員長が追悼の辞を述べた。文委員長は、同胞が虐殺された悲劇を後世に伝えるため総連西部支部の前身である朝聯船橋支部が1947年に建立した慰霊碑が、総連西部支部同胞たちと船橋市の協力で、より環境が整備されたこの地に移されたと説明した。そして、朝鮮を植民地支配してから100年が過ぎたが、日本政府は過去の清算から逃れようとするばかりか、在日同胞に対する差別と弾圧を続けていると指摘。犠牲者の無念を晴らし同胞社会の明るい未来を築くため、日本政府が不当な差別と人権侵害を是正し、朝・日平壌宣言の精神にのっとり過去清算に基づいて朝・日関係の正常化に取り組むようたたかっていきたいと決意を語った。

 千葉県高等学校教職員組合の榮永正之中央執行委員長は、「あの忌まわしい戦時下で繰り返された差別が今でも繰り返されている。朝鮮学校の生徒たちがチマ・チョゴリを着て登校できなくなってからどれほどの時間が経過したのか」と指摘。朝鮮学校への「高校無償化」適用を求めるとともに、「悲惨な歴史に学び、すべての人々が、そして子どもたちが、差別されることのない、平和で豊かな社会を作るべく努力したい」と述べた。

 参列者たちは慰霊碑に花を捧げ、犠牲者を追悼した。

[朝鮮新報 2010.9.4]