「丹波マンガン記念館」再建に向け奮闘 強制連行伝える博物館 |
昨年5月に閉館した「丹波マンガン記念館」(京都市右京区)再建のための動きが活発だ。同記念館は、日本の植民地支配下で強制連行され、過酷な鉱山労働と生活苦を強いられた朝鮮人労働者たちの歴史を伝える博物館である。記念館の隣の坑道内には、労働者たちの人形とともに、実際に使用された工具などが展示されており、当時の様子を生々しく伝えている。 1989年、故李貞鎬初代館長と息子である李龍植館長(50)をはじめ、家族の手によって開館され、守られてきた。しかし、財政難に見舞われ、昨年5月31日、20年の歴史に幕を閉じることを余儀なくされた。その間、日本の行政などが記念館保存のために協力をしたことは一度もなかった。
閉館後、強制連行の歴史を伝える博物館の閉館を惜しむ同胞たちを中心に、多くの人たちから再建の声があがった。そして今年6月27日、「丹波マンガン記念館再建委員会」(再建委員会)が結成された。
再建委員会は、来春を目標に、記念館を再生させるために奮闘している。すでに十数回の会議を開き、斬新なイベントなどを企画している。再建された記念館には、国内外での特別展、季節ごとのイベント、体験教室などの多様なプログラムを取り入れる予定だ。
再建に向け、同記念館の李龍植館長は、再建を支援してくれる人たちに感謝の意を示す一方、「もう少し早ければ…」という思いもあると胸の内を語った。しかし、支援者たちとともに力を合わせ、必ず再建すると固く心に決めている。李館長は、「日本は加害の歴史を忘れたり、ごまかすことが国益になると思っている。日本の人たちに真実が伝わり、彼らが目を覚ませば、在日同胞たちに対する差別はなくなるはずだ」と指摘しながら、この博物館は、「日本人が歴史の真実を知り、私たちとともに手をつないで歩んでいくうえで、一役を担う大切な場になるはずだ」と付け加えた。
現在、現場では李館長の兄を中心に、腐食した坑木の補強工事などの再建準備を進めている。専門的な技術を要する補修工事もあるが、一般の人が取り組める作業も多いという。 再建活動に取り組む藤田克章さん(23、京都大学大学院生)は、「日朝友好学生の会」の活動の中で同記念館について知ったが、その時にはすでに記念館は閉館していた。そのため、再建のために是非協力したいと活動に参加した。「日本に戦争の加害責任を伝える場所がない」ということは、異常なことだと考える。自らが犯した罪を隠そうとする卑屈な行為に、反対の声を上げたいという。「歴史的事実を伝えるこの記念館は、本当に貴重だと思う。学生として微力の身だが、仲間を中心に、一人でも多くの人たちに(同館の存在を)知らせようと思う」と語った。(姜裕香) ◆緊急募金◆ 「再建委員会」では、現時点においての緊急の対策として、坑道の落盤を防ぐための工事費用、老朽化している記念館建物の最低限の補修工事費用などへの資金協力を呼びかけている。 【緊急募金口座】
京都銀行 北桑(ホクソウ)支店 ◆NPO法人賛助会員◆ 今後の安定的な運営のために、一口賛助会員(年間1口3000円)を2000口を目標に募っている。 【協賛会員郵便振替口座】 00930−9−304328 特定非営利活動法人 丹波マンガン記念館 問い合わせ=TEL 0771・54・0307、FAX 0771・54・0140(電子メール=tanbamangan@watch.ocn.ne.jp) [朝鮮新報 2010.9.6] |