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滋賀で「みんな集まれ! ウリハッキョマダン2010」

真の多文化共生を目指し

 滋賀朝鮮初級学校の運動場では、年に1度、地域の同胞と日本の人々、外国人が一堂に会するイベント「みんな集まれ! ウリハッキョマダン」が開催されている。5回目となる今年は、8月29日、510人の参加のもと行われた。主管しているのは、日本の市民団体メンバーら。多文化共生を掲げながら、民族教育の自主性尊重に奔走する彼らの地道な活動は、毎年「マダン」の場で結実となって発揮されている。

心と心で繋がる関係を

滋賀初級の低学年生徒たちが披露した歌「バスに乗って電車に乗って」

 「マダン」は、2006年4月に行われた「朝鮮学校を支える会・京滋」の結成集会をきっかけに発起した。集会の場で、活動のさらなる活性化のために何か行事を企画しようという参加者からの熱烈な要望を受け実現に至った。それから同年に初めて開催されて以来、毎年欠かさず行われてきた。

 実行委員を務めるのは、「在日外国人を考える会・滋賀」「滋賀県教職員組合」「セパドフリーネットワーク」「朝鮮文化を考える会チング」「長寺人権プロジェクト」「ハムケモイジャ(在日外国人保護者会)」、そして同校アボジ会とオモニ会だ。そのほかにも20の日本市民団体らが後援、協賛している。

 同地域では、朝鮮学校の民族教育事業に対する日本市民団体らの支援活動が、日ごろから活発に行われてきた。

 日本政府が、不当な理由で朝鮮学校を「高校無償化」適用対象から除外した際にも、「朝鮮学校を支える会・京滋」が真っ先に立ち上がり、「無償化」適用を訴える内容の要請書を鳩山由紀夫首相(当時)、川端達夫文科相らに提出したほか、7月にはこれと関連した集会も開催した。

 「マダン」実行委員の一人で、湖南農業高校教員の徳永信一さんは、93年に「セパドフリーネットワーク」を立ち上げ、朝鮮と日本学校生徒らの意見交換の場を積極的に設けてきた。その他にも、定期的な講演会や学習会を通じて朝鮮学校との絆を深めてきた。

 徳永さんは、「真の共生社会とは、支える支えられるという関係ではなく、互いの自主性を尊重し合い、それぞれが民族の誇りを持って当たり前のように生きていける社会」だと指摘した。

 滋賀初級の鄭想根校長は、「地域の日本市民団体メンバーとは、打算なしに心と心でつながることのできるような誠実な人間関係を構築していくことが大切」だと強調しながら、同校で行われている「マダン」が、地域の同胞、日本の人々らにとって、真の意味での「多文化共生社会」とは何かという問題意識を深めていくきっかけになればと話した。

「続けていってくれれば」

それぞれの民族的情緒あふれる演目を披露した。(サンタナ学園の子どもたちによるサンバ)

 この日、会場には多くの屋台が設けられ、それぞれの伝統料理や記念品などが販売された。また、民俗あそびの体験コーナーも設けられ、参加者らが一日中楽しく過ごせる企画が盛り込まれた。

 一方、特設舞台で行われた文化公演には、民族の個性が光る演目が並んだ。

 同校児童らによる歌とチャンダンをはじめ、朝鮮舞踊、和太鼓と津軽三味線の演奏、ブラジルの踊り―サンバなどが披露されると、会場からはそのつど大きな拍手が沸き起こった。なかでも、今回、初めて参加したという在日朝鮮人歌手・趙博さんのユニークな舞台は、参加者から大きな反響を呼んだ。

 「マダン」のフィナーレを飾ったのは、滋賀の同胞青年たちによる歌唱サークル「歌話団」と京都朝鮮歌舞団メンバーらによる民謡メドレー。歌声が響く中、地域の同胞と日本の人々、ニューカマーは、互いに手をつないで踊りに興じた。

 大津市議会の草野ただし議員が、「マダン」に参加するのは今年で4回目。彼は、「行事の雰囲気がとても温かく居心地がいい。多種多様な人々が集まり、親ぼくを深めることは、地域社会の連帯強化にもつながっていく。今後も、この行事を続けていってくれれば」と話した。

 同校付近にある聖愛幼稚園の大山修司園長は、「毎年、楽しませてもらっている。子どもたちの踊りや歌を観ながら、民族教育を通じて自分の民族を愛する心が、しっかりと伝えられているのだと思った。地域社会はひとつの家族のようなもの。今後も交流を深めていきたい」との感想を述べた。(周未來)

[朝鮮新報 2010.9.15]