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「高校無償化」の差別なき適用を 日本の教育関係者が取り組み決議

 「高校無償化」制度から朝鮮学校を除外しようとする動きに対して、日本の教育関係者らが抗議の意思を示し、民族教育権確保と朝鮮学校支援のための活動を展開することを決議した。

 2月21日に東京朝鮮中高級学校で開催された日朝友好親善を深めるための第33回全国「東京」集会(主催=日本朝鮮学術教育交流協会)で、前述の内容を盛り込んだ決議文が採択された。

 全国集会は、訪朝経験のある日教組と各地の高教組関係者らによって日朝友好親善活動の推進を目的に1977年に初開催され、それ以降、毎年行われている。

 今集会には、日本の教育関係者と朝鮮学校の関係者ら70余人が参加した。

 鳩山内閣は1月29日、「高校無償化」を4月から実施するための関連法案の国会に上程することを閣議決定した。

 しかし集会に先立ち、中井洽拉致問題担当相が、朝鮮学校を対象から外すよう川端達夫文部科学相に要請し、文科省の政務三役で検討している事実が、報道によって明らかになった。

 集会に参加した朝鮮学校関係者らは、政府内の動きの問題点を指摘し「無償化の差別なき適用」を求める在日本朝鮮人教職員同盟(教職同)中央本部名義のアピール文を配布した。

 アピール文は、国交の有無、拉致問題、核問題と関連付け朝鮮学校を無償化の対象から除外すべきだとする日本政府や政党内の一部意見や主張は、在日朝鮮人問題の歴史的経緯や元来保障されるべき在日朝鮮人子弟の基本的人権と権利、朝鮮学校の実態を無視した不当な論調だと指摘した。

 集会で基調報告を行った大石忠雄・日本教職員チュチェ思想研究会全国連絡協議会事務局長も、在日朝鮮人の教育機関である朝鮮学校は、高校無償化の対象に適用されるべきだと強調した。

 報告では、朝鮮半島情勢と日本の教育「改革」の動向、国際化時代の民族教育権などが述べられた。

 また、昨年発足した鳩山政権が、自民党政権時代の対朝鮮強硬政策をいまだ転換できずにいると指摘し、朝米対話が始まった今こそ、日朝平壌宣言に基づいた国交正常化交渉を行い日本の歴史認識の歪みを正さなければならないと主張した。

 また、日本各地にできた30の「朝鮮学校を支える会」をはじめとするさまざまな市民団体が、朝鮮学校への教育助成金の増額支給、日本学校と同等の権利付与などを各地方自治体に要請している事実は、日本政府に対して、在日朝鮮人問題の歴史的経緯を顧みずに民族教育権を認めない現在の方針を改めるべきだと主張した。

 報告は、今後の取り組み課題として▼朝鮮学校を支援する組織を各地に立ち上げ継続的な活動を展開する問題▼民族教育権をはじめ在日朝鮮人の諸権利の確保と自主権擁護運動の強化▼日朝親善の草の根組織の全国展開などを挙げた。

 集会では石坂浩一・立教大学准教授が「日本による植民地化から100年−日朝基本条約制定に向けて」と題し記念講演を行った。

 続いて行われたシンポジウムでは、日朝友好促進東京議員連絡会代表の江口済三郎・中野区議会議員が昨年の地方議員訪朝団の活動報告を、西澤清・東京朝鮮人強制連行真相調査団代表が東京大空襲65周年、韓国併合100周年の今年の活動計画ついて、浦田哲也・福岡県教組委員長、愼基成・西東京朝鮮第一初中級学校校長がそれぞれの地域における朝・日友好親善活動について報告した。

 集会参加者らは教職同中央のアピール文に賛同を示し決議文を採択した。

 参加者らは決議文で、朝鮮学校などすべての在日外国人学校に寄付金の税法上の優遇措置を適用し、「高校無償化」、教育助成金などを1条校なみに措置することなどを日本政府と文科省に求める活動を全国規模で展開していくことを確認した。

[朝鮮新報 2010.2.26]