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「高校無償化」 無条件実施を 東京朝鮮中高級学校生徒らの声

「私たちを差別しないで」

 「高校無償化」制度から朝鮮学校を除外しようとする日本当局の動きに対して、朝鮮学校の生徒、父母たちはもとより日本の教育関係者をはじめ広範な人々らが抗議の声を高めている。それらの声を紹介する。

不安でいっぱい

 「高校無償化」については今まで考えたことがなかった。無関心というより、まさか、除外されるなんて予想していなかったからだ。

 しかし、この間さまざまな記事を読んでみて、不安でいっぱいになった。私たちが通う朝鮮学校をその対象から除外するという、日本の閣僚たちの発言が載っていたからだ。

 今まで11年間民族教育を受けてきて、心の底から朝鮮学校を誇りに思ってきた。大好きな友だちと一緒に学び、すばらしい朝鮮舞踊にも出会えた。現在、若者にとって、学ぶことが大事だと言われているこの社会で、私たちの学ぶ場を奪っていくのはおかしいと思う。

 私たちの学校が無償化から除外されると、朝鮮学校での勉学の機会が与えられない子どもも出るかもしれない。私のように朝鮮人として民族教育を受け、言葉や文化、伝統などを学ぶという貴重な経験ができなくなると思うと悲しい。

 外国人だからと言って教育を受ける権利を剥奪されてはいけないと思う。そのためにも「高校無償化」は朝鮮学校にも無条件に実施されるべきだと訴えたい。(成卿任、高級部2年)

何ら変わりない

 小学校の頃から朝鮮学校に通っているが、学校で友だちと過ごす日々が楽しくてならない。

 とくに部活では、伝統ある舞踊部に属しているが、一日一日を18人の仲間たちとともに過ごし、ともに学び、ともに成長していける「今」を思う存分に楽しんでいる。

 今、日本では朝鮮学校を「高校無償化」から除外しようという動きがあるようだが、私たちが通う朝鮮学校は、日本の学校と何が違うというのだろうか。もちろん、私たちの国語は母国語の朝鮮語であり、自民族の文化を学ぶという面では異なるが、学校生活を送るうえで、日本の学校との差は感じない。大切な友だちとの絆を深めながら、勉強や部活に全力で取り組んでいる。

 このような報道があるたびに、大切な朝鮮学校が、世間から白い目で見られていくことがとても悔しく、悲しい。

 もっと日本の方々が朝鮮学校のことをよく知り、理解してくれたらどんなにうれしいかわからない。ぜひとも、朝鮮学校も「高校無償化」の対象となることを望む。(金里奈、高級部2年)

拉致問題と無関係

 最近、「高校無償化」問題に関する話を毎日のように聞くようになり、対象が自分たちということもあって関心を持つようになった。

 そこでいろいろなことを考えた。

 まず、この問題に拉致問題担当相が、朝鮮学校を対象外にするように求めたということに怒りを覚えた。

 拉致問題が朝鮮学校で学ぶ権利を奪う口実として使われようとしているのは納得ができない。国の問題を私たちを使って解決しようとするのは、少し違うと思う。

 これまでも、朝鮮の人工衛星打ち上げや核問題などがメディアで取り上げられるたびに、朝鮮学校への脅迫事件などが多発し、在日朝鮮人は住みにくさを感じてきた。

 しかし、このようなことは変えていかなければいけないと思う。

 日本にいるすべての人を尊重していくことが平和につながり、朝・日関係の改善になっていくのだと思う。良識ある日本の方が私たちと一緒に立ちあがってくれることを心から願っている。(宋英起、高級部2年)

「学習権」の平等を

 「朝鮮学校を高校無償化から除外する」(2月21日付)という新聞記事を目にした。この件について、朝鮮学校に通う多くの生徒たちは怒りを覚えている。

 毎日1時間半かけて学校へ通っている。なかには、2時間以上かけて通う友だちも少なくない。

 なぜそこまでして通おうとするのか。

 それは言うまでもなく、同じ境遇である友だちとともに学び、遊び、成長したいと思うからだ。そして、そんな私たちのために、一生懸命に働いてくれる両親の気持ちに応えるため、これからも文武両道の学校生活を送りたい。

 朝鮮学校では、日本の一条校となんら変わりないカリキュラムによって授業が行われており、また生徒、教師の家庭では市民としての納税義務を果たしている。「高校無償化」から除外される理由などどこにも見当たらない。

 今回の「高校無償化」からもし朝鮮学校を除外することになれば、日本政府も批准している国際人権規約や子どもの権利条約が掲げる「教育の機会均等」の大原則に反していないのか、問いたいと思う。(李瑛夏、高級部1年)

傷つけないで

 「高校無償化」−当初私は一人の高校生としてとてもこの案に喜びを感じ感謝していた。この国で生きていくかぎり、この国を知り、思い、学ばなくてはならない人間だからである。

 しかし、私は日本人ではない。在日朝鮮人である。

 日本の子どもたちも自国の歴史や文化を学び、あるいはなかには民謡を歌ったり、日本舞踊を習う人もいるだろう。

 当然私たちにも自民族の文化や母国語などを学習する権利がある。もちろん日本に住む以上、日本の優れた文化や歴史などにも触れたいと思う。

 在日の私たちにとって、日本のことは当然のように毎日の生活の中で自然に身についてくる。しかし、朝鮮の歴史・文化や言葉は、朝鮮学校でなければ学ぶことができないのだ。

 今、「高校無償化」問題で私たちの通う朝鮮学校をその対象から外すべきだとする意見や主張が政府、政党内で出ていると聞く。

 私には、どうしてもこのことを受け入れることができない。私たちの心をこれ以上傷つけないでほしい。(姜愛順、高級部1年)

[朝鮮新報 2010.3.3]