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「高校無償化」 除外はおかしい 日本の識者の声 「なんとも情けない

 国連人種差別撤廃委員会は、ジュネーブにおける2月下旬の対日審査会合で、「高校無償化法案」から朝鮮学校を除外する見解が出たことについて「懸念」を表明した。3月中旬にも日本政府へ「勧告」を行うという。

 子どもたちの教育問題と国家間の政治的問題を混同し、国連から勧告を受けるとは、なんとも情けない話である。

 「何人たりとも平等の教育を受ける権利がある」と、かつて語っていたのは鳩山さんそのひとではなかったのか。教育の機会が朝鮮高級学校の生徒たちにも平等に与えられないということが、人権侵害になるのだということを強く自覚してほしい。朝鮮学校では朝鮮籍、韓国籍、そして少数だが日本籍の生徒が一緒に勉強してもいる。

 2年前、私は神奈川県川崎市にある朝鮮初級学校を訪れ、授業風景を見学したことがあった。子どもたちが生き生きと勉強していた様子が今でも思い出される。

 その一方で、校舎の老朽化や授業料の負担の大きさに父母や学校関係者の悩みが深いことを知った。朝鮮学校で教べんをとっている教師たちも満足な給料をもらっていないということだった。

 子どもたちへの愛情≠ェ朝鮮学校を存続するほとんど唯一の支えになっているように思えた。朝鮮学校は、在日朝鮮の人々が心を寄せ集めてつくった学舎なのだ。

 2月26日に鳩山総理大臣は「国交のない国の教科書内容というものが、はたして検討できるかどうか…」という趣旨の発言をしていたのだが、日本のほぼすべての大学が朝鮮高級学校卒業生の受験資格を認めている現在、朝鮮学校の教育内容についての判断基準にどのような難しさがあるというのだろう。

 私は日本の国立大学院の研究室で、朝鮮学校出身の学生と机を並べて勉強している。水準の高い研究をしている彼らから学ぶことがとても多い。時には酒を酌み交わす友の顔が次々に思い浮かぶ。双方にとって容易には譲れないきわどい議論に及ぶこともしばしばだ。

 しかし、その厳しい議論の積み重ねこそが、東アジアをめぐる困難な状況をひも解いてゆく唯一の方法なのだと互いに信じている。にもかかわらず、こうして大学で一緒に勉強している彼らや彼らの後輩たちに対して、政治的圧力や排除が起こるたびに、情けなく、悔しい気持でいっぱいになる。

 朝鮮高級学校の無償化を実現したい。そして、朝鮮学校の学生と一緒に未来のアジアについて新しい議論ができることを、心から望んでいる。(I・Y、一橋大学)

[朝鮮新報 2010.3.3]