西東京第1初中 アボジ会一日労働 卒業する中3生徒らと共に汗流す |
アボジの手で学校をピカピカに 西東京朝鮮第1初中級学校(東京・立川市)で2月21日、「アボジ会一日労働」が行われた。同校アボジ会が再建されたのは5年前。以後毎年、年間を通して学校の美化活動や、バザー、地域の「祭り」などに積極的に参加している。
子どもたちのために
今年3回目(通算15回目)となる「一日労働」には、26人のアボジらと卒業を控えた中3生徒26人が参加した。 この日の作業内容は、校舎のエントランスと講堂の窓磨き、側溝の清掃および廃土処理、物置の組み立て、古椅子の解体、エアコンフィルターの洗浄、講堂内の整理とワックスがけ、不用品の処理などだ。 朝9時に作業開始。アボジ会の鄭哲浩会長(46)が、「卒業式を控えて学校をきれいにしよう!」と呼びかけた。 アボジ会では、これまでも「一日労働」を通じて定期的に側溝の掃除や、学校の外壁と玄関、屋上にあるパイプなどのペンキ塗り、植木の剪定、エアコンのメンテナンス、高いところの電灯の取り替え、古くなった机の修理、壊れたカーテンレールの交換などを行ってきた。鄭会長の話によると、3年前には図書室にある約7千冊の書籍をデータベース化し、貸し出し管理システムを整備したほか、大掛かりな運動場の整備も行ったという。 この日、運動場の片隅でエアコンのフィルターを洗っていた朴泰泳さん(51)は、水が冷たいのは苦にならないと話し、「子どもたちのためなら、できるかぎりのことはしてやりたい」と手を動かしていた。初級部1年から中級部3年までの全クラスと音楽室、コンピューター室、脱衣室、美術室に設置されたエアコンは、同校創立60周年(06年)を記念して卒業生たちが寄贈したもの。呉在根 教育会会長は、「夏も冬もエアコンを使うようになり、いくらか経費が浮くようになった。時折アボジたちがメンテナンスもしてくれるので長持ちしそうだ」と話した。
見えない所の清掃も
運動場を取り囲む側溝の長さはおよそ200メートル。 アボジたちがスコップで溝にたまった汚泥をすくい、手押し一輪車に積むと中3男子らもそれに倣って作業を進めた。一輪車の荷台はすぐにいっぱいになる。泥は倉庫が立ち並ぶ運動場の裏手に集められた。 任忠先さん(55)は、慣れた手つきで前回(3カ月ほど前)、溝から汲み出し乾かしておいた土をふるいにかけていた。「こうすれば産廃にならず、再利用できるから」。 16年間、学父母として5人の子どもを通わせた任さんは、同校卒業生の一人でもある。一時中断されていたアボジ会の再建後、初の会長を務めた。今月、末娘が母校を卒業する。「わが校に限らずどの朝鮮学校でも、アボジたちの力と知恵を集めればたくさんのことができると思う。わが校だけ見ても、建設業者に設計士、電気関係業者などがいて、作業時には彼らが現場の指揮官となり他のアボジたちの手本となっている。専門家はやはり専門家。運動場の整備など初心者には難しい作業でも、同胞業者を利用して機材だけ借りて作業すれば、丸ごと頼むよりずっと節約できる。これも子どもを愛し、学校を思う心がなければできないことだ」。
子どもたちの声
アボジらと共に初めて一日労働に参加した金宏樹くんは、「運動場はいつも使っているけど、溝にたまった土を汲み出すのは初めてだった。思ったより大変で疲れた」と話した。 作業に使うスコップと手押し一輪車は、効率を高めるためアボジ会で購入したもの。今では多くのアボジたちが慣れた手つきで作業を進める。 アボジたちが学校のために汗を流して働く姿を間近で見ながら、一緒に泥にまみれて作業をする経験は、子どもたちにとって、卒業後も母校を大切にする良い手本となっている。 金勇誠くんは、「溝の掃除は本当に大変だったけど、アボジたちと一緒にしたので楽しかった。いつもサッカーをしながら溝の中にホコリや枯れ葉が落ちているのを見ていたけど、掃除は初めてやった。数日後に学校を卒業するが、卒業後も時間があれば今日のような美化活動や行事などを手伝いたい」と話した。彼の将来の夢はサッカー選手になることだそうだ。 中3担任の李忠赫先生(25)は、「中3の生徒たちが卒業前にアボジたちと学校の美化活動に汗を流すのは、今では恒例となっている。子どもたちがいつか親になったとき、『一日労働』がわが校の伝統として定着してくれることを願っている」と話した。 一日の労働を終えた参加者たちは、同日、図書室の掃除を行った中3のオモニたちと一緒に、運動場で焼肉を食べ、一日の労をねぎらった。(文=金潤順、写真=文光善記者) [朝鮮新報 2010.3.5] |