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「高校無償化」 東京朝高生と社民党議員が懇談

「首相に会って話したい」 「日朝の子どもたちの未来閉ざすな」

 3日、「高等学校無償化」制度と関連して、東京・北区の東京朝鮮中高級学校を訪問した社民党の又市征治副党首、阿部知子政策審議会長、吉泉秀男衆議院議員は、同校生徒たちと懇談会を開いた。参加したのは、康智香さん(16)、林雪洲さん(17)、高英載さん(同)、太正和さん(18)、李鴻成さん(同)の5人。生徒たちは、朝鮮学校の魅力についてアピールし、「朝鮮学校を『無償化』から外さないでほしい」と訴えた。

生徒の声

生徒、学校関係者との懇談会

 李さんは、「私たちが日本の地で朝鮮人として堂々と暮らせるのは学校があるから」と話し、「学校がこれからもあり続けるためにも、『無償化』が重要だ。私はこの3年間いろいろ学べて本当によかったと思う。後輩たちにも同じ思いをさせてあげたい」と話した。

 バスケットボール部に所属している太さんは、「朝鮮人としてのアイデンティティは、授業だけでなく友だちと過ごす時間を通じて形成されるものだと思う。勉強がいやでも、友だちに会いたくて、クラブ活動をしたくて学校に来る人もいる。私は高3女子全員と友だちだ。それもこの学校ならではのこと。朝鮮学校が『無償化』から外されることによって学校に通いづらくなるのはあってはならない」と述べた。

 「友だちとのつながりがとても強い」のが朝鮮学校の特徴のひとつだと強調したのは高さんも同じだ。「わが校で共に学んだ友だちは、ただの友だちというレベルじゃなくて、卒業後も人生を共に歩んでいく仲間という意味。学校を大切に思う気持ちが強いだけに、『無償化』除外の知らせはショックが大きく、打撃を受けた。ただ、このように問題化されなかったら、親に学費をたくさん払ってもらいながらも、何も考えずに卒業したと思う。問題化されたことによって関心が高まった。『無償化』されれば、私たちが学ぶ環境がもっとよくなる。是非とも除外されないようお願いしたい」。

福島瑞穂党首あての要望書を伝達

 林さんは、通学時にチマ・チョゴリを着ている。「私からすれば、それはおかしいことではないけど、周りには驚く人、変な目で見る人がいる。怖い思いもするけど、学校に行けば友だちがいると思うと怖くない。チョゴリを着て通学することによって、自分が強く、堂々と過ごせるような気がしている。朝鮮学校は私にとって、普通の学校なのに、『無償化』から外されるという。いったい何の違いがあるのかと疑問に思う。いろんな人たちにもっと私たちのことを知ってもらいたい」と語った。

 高1の康さんは、「わが校では、1人の子が悲しそうに落ち込んでいるとみんなが心配する、一つのことをみんなが力を合わせてやるので互いを思いやる気持ちが強い。私はそんな学校に通えてよかったと思っている。朝高に来て新しい友だちができてとてもうれしい。これからもたくさんの友だちとこの学校で学んでいきたい。差別をなくすのは簡単じゃないけど、朝鮮学校だけを白眼視しないでもらいたい」と話した。

 卒業を間近に控えた高3生徒らは、前日学校の近くで署名活動を行った。李さんは、「中には悪く言う人もいたが、多くの人が『がんばってね』などと励ましの声をかけてくれてうれしかった」と話した。

 また、高さんは、前日に鳩山由紀夫首相が朝鮮学校生徒との面会に対して前向きな姿勢を示したことについて触れ、「僕たちもぜひとも首相と会って話したい」と意欲を見せた。

議員たちの話

 生徒たちの話を聞いた又市副党首は、「何ゆえに朝鮮学校に対して差別をするのか、同じ政治家として、連立与党を組んでいる間柄でそういう発言が出ること自体たいへん恥ずかしくておかしな話だ。これはまさに日本の問題だ。大人の喧嘩の責任を子どもにおしつけるなんて話はない」と話し、朝鮮学校の生徒たちは「非常に活発で目が輝いている。『無償化』から朝鮮学校を外すことは、憲法や教育基本法に照らしてみても、許されざることだ。政権与党の一員としてなんとしても、このような動きに対してたたかっていかなければならない」と語った。

 一方、阿部政策審議会長は、「学生たちが民族教育を通じて自分の原点、ルーツをたどり、これから日本と朝鮮、韓国の不幸な歴史を変えていってくれるとの息吹を感じた。この子たちを悲しませたら、今後、朝鮮半島とともに歩んでいく日本の未来を失ってしまうのではないか。この問題は単に制度うんぬんではなく、これからのアジアのあり方、日本、朝鮮、韓国の関係の基本に関わることだと思う。生徒たちはとても頼もしい。ここで教育を受け仲間を得て、みんなで力を合わせて頑張っている。日本の子どもたちは誰かと自分がつながっていけないという悩みを抱えている。その点からみると、朝鮮学校の生徒たちは理不尽な差別を受けるという不幸な経験もするが、仲間を大切にしながら学校生活を送っていることはとてもすばらしい」と話した。(金潤順、呉陽希記者)

[朝鮮新報 2010.3.5]