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「高校無償化」 日本外国特派員協会で会見

「教育内容、遜色ない」、「除外すれば歴史に汚点」

西澤清副会長と崔寅泰校長(右)

 「朝鮮高校で学ぶ息子は在日4世で私は3世です。父は10歳まで日本人でしたが解放後、朝鮮人に戻りました。みなさん考えてみてください。一度日本人にさせられた子供に民族の言葉を学ばせ朝鮮人として再生させる、そのために祖父母たちは朝鮮人学校を立ち上げたのです。」

 朝鮮学校学生の保護者が各国の記者たちにアピールした。「高校無償化」の対象から朝鮮学校を除外しようとする動きが あることと 関連して3日、日本外国特派員協会で会見が行われた。日本朝鮮学術交流協会の西澤清副会長、園部守事務局長、茨城朝鮮初中高級学校の崔寅泰校長、東京朝鮮中高級学校の 保護者 である厳光子氏が発言した。

 この日の会見は 「 朝鮮学校の歴史と教育内容についてもっと広く知ってもらい たい」(園田守事務局長) との趣旨から開かれた。 会見場には各国の特派員が集まり、日本のテレビ局も取材を行った。

 会見で 崔寅泰校長 は日本植民地支配からの解放とともに、強制連行によって日本につれてこられた在日朝鮮人1世の手によって日本各地に設置された朝鮮人学校の歴史とその教育内容について述べた。

 崔校長は、朝鮮学校が日本の学校制度にあわせて6・3・3・4制を採用し、学校教育法第1条が定める日本の学校と遜色のないカリキュラムで教育を行っており、各種学校である他の外国人学校と同様に、教育と運営において関係法規を遵守し報告を行うなど、所管の都道府県の監督を受けていることを説明した。

 また、朝鮮高校卒業生には東大や京大などほとんどすべての国立大や私立大の受験資格が認められており、受験生のほとんどが現役合格を果たしていると紹介した。

 崔校長は、朝鮮学校を無償化の対象から外すべきと主張する人々の「中身が見えない」「制裁をしている国の国民」などの指摘は事実と異なると指摘し、過去にも朝鮮半島情勢を口実に何の罪もない生徒たちに対するチマチョゴリ事件や暴言、暴行が繰り返されてきた事実について触れながら「政治、外交的な理由により朝鮮学校を無償化の対象から除外しようとする動きは、民族差別を一層助長するもので看過することはできない」と述べた。

 厳広子氏は朝鮮学校で子供を学ばせる親たちの気持ちを語り、「日本人とともに歩んでいく子供たちの未来を思い、無償化制度を差別的に運営することが本当に日本の国益になるのかどうか、真剣に考えて欲しい」と訴えた。

 西澤清副会長は無償化制度が間接給与であるため学校問題が論じられているが、本来は個々人の学生に対して授業料を支援するのが制度の趣旨であり、どの学校に通っているかによって差別的な運営をするべきではないと主張した。そして「無償化の対象から朝鮮学校を外せば、日本は歴史に汚点を残すことになる」と述べた。

 外国特派員たちは朝鮮学校を無償化対象から除外しようとする動きは「重大な人権問題」として扱うべきとの認識を示しながら、学校の教育内容について質問した。過去に日本の人権侵害状況について勧告を行った国連 人種差別撤廃委員会が、無償化問題の差別的運営に対してどのような見解と態度を示すのかについて関心を持つ記者もいた。

 教育内容に関する質問に答えた崔寅泰校長は「国交がない国の教育内容」を確認することが出来ないとの鳩山首相の発言に触れ、「朝鮮学校は遠くにあるのではなく、日本にある。実情を直接確認することは可能だ」と述べた。

[朝鮮新報 2010.3.5]