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「高校無償化」 京都、大阪で記者会見と緊急集会

新たな民族差別、座視できない 制度の本質に立ち返り、平等な適用を

 4月から実施される予定の「高等学校無償化」制度から朝鮮学校だけを除外しようとする議論が出ていることと関連し、各地で朝鮮学校にも適用することを求める動きが活発に展開されている。1日から6日までの間だけでも、京都と大阪ではそれぞれ記者会見4回、街頭宣伝3回、緊急集会2回を開催した。

■京都

さまざまな団体が記者会見を行なった

 「無償化」措置から朝鮮学校を除外しないよう求める要望書を1日に総理大臣、文部科学大臣などへ提出した「文化・学術・市民交流を促進する日朝友好京都ネット・地方議員の会」と、2日に同要望書を提出した学者、宗教家、文化人らが会見を開き、それぞれの立場から朝鮮学校の公共性と役割、朝鮮学校卒業生の学力と地域貢献、制度本来の目的から朝鮮学校を外す理由がないことなどを訴えた。

 京都府議会の角替豊副議長は、カリキュラムが確認できないのならば確認すればいいまでのことで、決して朝鮮学校は閉ざされた学校ではないとし、基本的人権の問題である以上、条件付けは不要であると話した。

 京都大学の上田正昭名誉教授、京都造形芸術大学の仲尾宏客員教授、仏教教育学園の水谷幸正理事長は、「朝鮮学校卒業生の学力になんら問題はなく、除外は実情に沿わない」と述べ、機会均等、不偏不党の立場から教育が政治の影響を受けるべきではないと強調した。

京都では署名活動も行なわれた

 5日には、ラボール京都で同胞緊急集会(主催=在日朝鮮人京都府民族教育対策委員会、学校法人京都朝鮮学園、朝鮮学校オモニ会京都府連絡会)が行われ、500余人が参加した。集会に先立ち朝鮮学校関係者による記者会見もあった。

 京都朝鮮学園の孫智正理事長は報告で、朝鮮学校排除の根底には敵対意識と民族排外主義があると批判、本来の趣旨に則り朝鮮学校を含めたすべての外国人学校に「無償化」制度を適用するよう求めた。

 続いて角替豊副議長と国連人種差別撤廃委員会(2月24、25日)にNGO代表として派遣された江頭節子弁護士から連帯のあいさつがあり、京都府青商会ウリハッキョ支援委員会の張一鋪委員長、京都朝鮮中高級学校の鄭栄成さん(高2)、同オモニ会の金秀子会長が討論した。鄭栄成さんは、日本の生徒と同様に夢と希望を持って学校に通っているのに、なんの罪があって差別されなくてはならないのかと切に訴えた。

 集会では要望書が採択されたほか、総理大臣あての要請ハガキと署名が集められた。

 一方、3日、4日、6日にはビラ配りや街頭宣伝活動が行われた。今月28日には「朝鮮学校への攻撃をゆるさない! 3.28円山集会」も行われる予定だ。

■大阪

712人が参加した大阪緊急集会

 3日に記者会見、4日に緊急集会が開かれた。

 記者会見では、学校法人大阪朝鮮学園・辛正学理事長が談話を発表。大阪朝鮮高級学校の金淳附Z長が教育実態について語った。

 続いて、保護者を代表して申千玉さんと金哲浩さん、生徒を代表して呉泰誠さん(ラグビー部前主将)、朝鮮学校を支える会を代表して「東大阪の朝鮮学校を支援する市民の会」の林二郎事務局次長と「チョソンハッキョを楽しく支える生野の会」の長崎由美子代表がそれぞれ発言した。

 辛正学理事長は、政治と教育を結びつけることは遺憾であると述べ、林二郎事務局次長は、政治と外交を教育問題に結びつけることで、「無償化」制度の本質をすり替えようとしていると強く批判した。

 一方、東成区民ホールで行われた緊急集会には、主催者の予想を大きく上回る712人が参加。会場は通路まで埋め尽くされ、同胞、日本市民の高い関心と怒りをうかがわせた。

 学校法人大阪朝鮮学園と大阪朝鮮高級学校、「東大阪の朝鮮学校を支援する市民の会」「西大阪アプロハムケ」「1%の底力で朝鮮学校の民族教育を支える会」「アプロハムケ北大阪」「中大阪朝鮮初級学校とともに歩む会」「アプロハムケ城北」「チョソンハッキョを楽しく支える生野の会」が主催した緊急集会では、辛正学理事長の報告、大阪朝鮮高級学校の玄完植教務部長、「アプロハムケ城北」の大村淳代表、「東大阪の朝鮮学校を支援する市民の会」の林二郎事務局次長、保護者の高龍秀さん(甲南大学教授)などからのアピールがあり、参加者の発言があった。

 玄完植教務部長は、「無償化」制度を「拉致問題」と結びつけることで、興味本位でセンセーショナルな政治問題にわい曲されていると指摘、差別なき制度適用を要求した。

 大村淳代表は、不当な政治家の発言は座視できず、日本人の責任として問題の解決に向け取り組むことを強調した。

 参加者たちからは、間違った行政のあり方を共に是正していこうという意見が出された。また、ある参加者から朝高生に送る「応援歌」が披露されるなど、会場は熱気を帯びた。

 集会では要望書が採択されたほか、総理大臣あての要請ハガキと署名が集められた。

 京都、大阪の緊急集会で採択された要請文は、それぞれ代表団を結成して直接関係者に手渡される。(鄭尚丘記者)

[朝鮮新報 2010.3.8]