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北海道で朝・日の生徒たちの共同ワークショップ

正しい歴史認識に基づく関係を

 2010東アジアの平和のための高校生共同ワークショップが2月13〜14日、北海道朱鞠内で行われた。1997年夏から行われている同ワークショップにはこの間、1500人を超える朝・日の青年たちが参加し、交流を深めてきた。

■歴史認識を共有

さまざまな企画で交流を深めた

 今回のワークショップには、北海道朝鮮初中高級学校と北星学園大学付属高校の生徒、南朝鮮の留学生、アイヌの青年など約80人が参加した。

 ワークショップではまず、「北海道アイヌ協会」札幌支部の松平智子理事が、日本におけるアイヌ民族の現状について講演した。

 続いて、朝・日の生徒たちが準備した研究発表会が行われた。

 北海道初中高の生徒たちは、在日朝鮮人のルーツについて説明し、日本政府がとっている対朝鮮敵視政策と在日朝鮮人に対する差別政策について、同校の処遇問題などと絡めて解説。在日朝鮮人に対する差別を撤廃し、朝・日の青年が歴史認識を共有する大切さについて訴えた。

 研究発表会に続き、討論が行われた。

 生徒たちは、「正しい歴史を学び反省することが何よりも大切だ」「正しい歴史認識を伝えていかなければならない」「日本のメディアの一方的な対比報道を鵜呑みにしてはならない」などと話し合った。

 北星高校のある生徒は、「日本の政治家の発言と行動について、同じ日本人として恥ずかしく思う。今まで在日朝鮮人の歴史を知らなかった自分も恥ずかしい」と述べ、研修旅行で南朝鮮の「ナヌムの家」に行ったことのある北星高校のある女子生徒は、「従軍慰安婦」問題について涙を流しながら討論した。

 生徒たちはこの間、犠牲者たちの位牌や遺骨を直接見ることで被害の痛みを実感するとともに、互いに意見を交わしながら厚い信頼関係を築いた。生徒たちはまた、朱鞠内共同墓地内の「朝鮮人追悼墳」を訪ね犠牲者たちを追悼した。

 ワークショップに参加した朝・日の生徒たちは、在日朝鮮人の過去の歴史と現状、日本が現在抱えている諸問題に対する理解を深めた。

■東アジアの真の和解を

朱鞠内共同墓地を訪ねた生徒たち

 道内でも有数の厳寒の地である朱鞠内では、1938年から1943年にかけて雨竜ダムの建設と鉄道工事が行われ、多くの朝鮮人が強制労働によって命を落とした。朱鞠内には今でも多くの遺骨が埋まったままで、これまでのワークショップでは発掘作業なども行われた。

 毎年ワークショップの会場となっている光顕寺には犠牲者たちの位牌と遺骨が安置されており、犠牲者たちを追悼する数少ない場として、戦争の記憶を後世に伝える大切な場所となっている。

 また、ワークショップに参加した在日同胞と南朝鮮から来た人たち、アイヌの人たちをはじめとする日本人、中国人などが葛藤を乗り越えながら友情を育んできた場所でもある。

 今年は「韓国併合」100年となる年だが、日本はこれまで明確な反省と謝罪をしていない。

 時代の流れと共に植民地支配と戦争の記憶が薄れていく中、朝・日の生徒たちが集まり過去の歴史について真摯に意見を交わすことは、東アジアにおける真の和解を築くうえで大きな原動力になるだろう。【北海道初中高】

[朝鮮新報 2010.3.8]