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「高校無償化」 府知事の学校訪問、コリアンタウンの声

チマチョゴリは大阪の原風景

 橋下徹大阪府知事が12日、大阪朝鮮高級学校に続いて生野朝鮮初級学校を訪問した。

 生野初級はキムチや焼肉で有名な鶴橋をはじめとするコリアンタウンがある生野区の巽西にある。同校は1945年に設立とその歴史は古く、朝鮮乾物と並び地域に根付いている。大阪市が市民を対象に 実施している市民健康診査 が同校で行われるなど、同胞ネットワークの中心でり、地域住民の大切な公共の場でもある。同時に、同校生徒や同校を卒業し、生野区から大阪朝高に通学する生徒の姿は街の「風物詩」となっている。

 民族教育の歴史を認識するうえで、知事がこの地を訪問することに対する期待は高かった。

 「東大阪の朝鮮学校を支援する市民の会」・林二郎事務局次長 は大阪朝高運動場明渡裁判の場や記者会見で、「自転車に乗り、チマチョゴリをなびかせて学校に通う生徒たちの姿は大阪の原風景だ」と機会あるたびに語ってきた。女生徒たちのチマチョゴリ姿は地域住民の心に残る光景だったが、朝鮮バッシングの煽りを受けて、暴行や脅迫の危険から生徒たちは現在、ブレザーでの登下校を余儀なくされている。

 「心無い差別や偏見のせいで大阪の風物詩が失われるのは悲しい」という声は多い。

 コリアンタウンで働くニューカマーのある男性(22歳、生野区在住)も、根強い偏見から生まれる差別意識に強い危惧を抱いている。

 日本の中学校に通う弟がいじめをうけていることがことの発端だ。いじめの理由は「韓国語を話すから」だ。日本語での会話もきちんと出来るのに、韓国語を話すという理由だけでいじめの対象となってしまった。同胞との接触を機に、これは個の問題ではなく大きな社会問題を内包していることに気付く。アイデンティティーを育むことさえ許されないという風潮が日本にはあると言う。それでも、チマチョゴリに誇りを感じている同胞の子どもたちがいることに、民族教育の深さと素晴らしさを感じたと話す。

 彼は、「根底にある差別意識をなくすために日本政府や、政治の上に立つ人たちが率先してしっかりとした対応を取るべきではないのか」と提起する。

 大阪朝高に子どもを送る父母たちは、「子供が笑う」をキャッチフレーズに当選した知事が、生徒たちとの交流を通して、伸び伸びと育つ姿を見て欲しいと話す。

 前・大阪朝高ラグビー部父母会会長の高慶秀さんは、「きっと朝鮮学校の子どもたちが、日本学校の子どもたちとなんら違わないことをわかってくれたはずだ。知事の発言は大きな影響力を持つ。ときに言葉ひとつで子どもたちは強いショックをうけることがある」と述べ、ラグビー部の生徒たちが大阪を代表し全国にその名を轟かせたように、同胞社会、日本社会の両面で、生徒たちは大きな役割を果たしていると強調した。 (鄭尚丘記者)

[朝鮮新報 2010.3.13]