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「高校無償化」 福岡緊急集会、朝高への「無償化」適用求め

生徒の未来のため、力合わせてたたかおう

「朝鮮学校も高校無償化を!」福岡緊急集会

 福岡県日朝友好協会や朝鮮学校を支援する会など13の市民団体が賛同した共同実行委員会が主催する「朝鮮学校も『高校無償化』を! 福岡緊急集会」が3月29日、福岡市の都久志会館で行われ、同胞、日本市民ら220人が参加した。

 集会にあたり、参加者には「高校無償化」問題に関する資料やチラシが配布され、会場ではこの問題についての解説DVD(総連兵庫県本部制作)が上映された。

 集会であいさつした福岡県日朝友好協会の北原守会長は、「朝鮮学校外し」の不当性を訴え、未来の主人公たちである朝鮮学校生徒たちの権利を守るため、広範な日本市民と在日朝鮮人が結集したたかおうと呼びかけた。

 集会では、九州朝鮮中高級学校の金鐘大校長、オモニ会代表の鄭英淑さん、生徒代表の金弥祐さん(高2)が発言。民族教育を支持し朝鮮学校を支援してくれる日本市民への感謝、朝鮮学校に対するそれぞれの思いを語り、朝鮮学校への「無償化」適用を訴えた。当事者らの率直な発言は、参加者の胸を打ち、会場の雰囲気を最高潮に高めた。

 学校のカリキュラムや卒業生の大学進学、生徒のスポーツや芸術での活躍について言及した金弥祐さんは、「朝鮮学校の教育は、日本の高校と比べて、決して劣らない。なのに、なぜ朝鮮高校だけ高校無償化制度から除外されるのでしょうか」と問いかけた。そして、朝鮮学校の教員になりたいという自身の夢を語りながら、「朝鮮高校の生徒たちは、日本の高校と同じようにたくさんの夢と希望を持っており、学びたいという一途な思いで学校に通っている。そんな私たちをせず、学業に励む朝鮮高校の生徒の姿をしっかりと見てほしい」と訴えた。

 これに呼応する形で、広範な国民連合・福岡、福岡県教職員組合、多文化共生ちくしの代表らが「無償化」を勝ち取るための決意を表明した。「朝鮮学校に対する差別は日本人として恥ずかしい。日本の敵視政策が根本にある」「無償化は子どもたちのため、未来のためのものだ。力を合わせてたたかい、正しい方向に変えていこう」などの発言があった。

 集会では、福岡県朝鮮学校支援する会の牧野玲子共同代表が読み上げた鳩山首相宛ての要請文が満場一致で採択された。要請文は、政治や外交上の思惑で朝鮮学校だけを外そうとすれば、朝鮮学校に通う子どもたちの将来への希望と夢を奪うだけでなく、日本社会に新たな差別を生み出すことになると指摘。朝鮮学校に学ぶ子どもたちは、これからも日本社会の一員として暮らしていく在日3世、4世であり、将来、共に社会の発展に貢献し日朝友好親善の架け橋となる貴重な人材だとし、日本の生徒やその他の外国人学校生徒と同様に「学ぶ権利」が公正に保障されるよう求めた。

 集会では、総連本部管下の各機関、団体と福岡朝鮮中高級学校の生徒、教職員、保護者らが10日間に約9000人分の署名を集めたことが紹介され、要請文とともに文部科学省に提出することが決まった。

 福岡県日朝友好協会の中村元気副会長は、集会の呼びかけから1週間足らずで多くの参加者が集まったと述べながら、朝鮮学校の生徒たちの夢と希望を実現するために力を合わせてたたかおうと呼びかけた。【福岡支局】

生徒代表の発言

 私は、朝鮮学校が高校無償化から除外されるというニュースを聞いて、落胆しました。
今、チマチョゴリを着てここに立っている私の姿は、日本の方々の目にどのように写っていますか。私たちがこうして民族精神を受け継いでいくことは、いけないことなのでしょうか。

 私は日本で生まれ育った在日3世の朝鮮人です。両親は、私が民族精神を持った朝鮮人として立派に育つようにと、朝鮮初級学校に送ってくれました。あの日から11年間の民族教育の中で、私は、在日朝鮮人としての自分とは何かを学び、数少ない大切な仲間と出会いました。私は、朝鮮学校にずっと通って本当に良かったと思っています。何よりも朝鮮学校が大好きです。

 現在、朝鮮高校に通う私たちは、民族を知るために朝鮮の言葉や歴史を学んでいます。もちろん、数学、英語、理科をはじめ、日本の古典や歴史も学んでいます。カリキュラムは日本の高校とほぼ同じなので、学力が劣っていることもありません。私も、高1の時に高等学校卒業程度認定試験に合格し、最近英検2級に合格しました。私以外にも多くの生徒が英検、漢検、ハングル検定に合格しているし、高等学校卒業程度認定試験に合格しています。

 この事実は、「朝鮮学校の卒業生は、日本の大学を受験する資格を、充分すぎるほど満たしている」という事であり、「朝鮮学校の教育は、日本の高校と比べて、決して劣らない」ということではないでしょうか。加えるなら、朝鮮高校はスポーツや芸術面でも国際親善や地域の活性化に貢献しており、両親は納税の義務を果たしています。

 それなのになぜ、朝鮮高校だけ高校無償化制度から除外されるのでしょうか。

 差別ではないのですか。

 鳩山首相は施政演説で、「差別や偏見とは無縁に、人権が守られた基礎的な教育が受けられる、そんな暮らしを国際社会の責任として、すべての子供たちに保障していかなければなりません」と話されました。

 私たちを無償化の対象から除外するという事は、責任を果たしていないと思います。私たちは人権のない子供なのですか。

 国連の人種差別撤廃委員会は、日本政府が高校無償化で朝鮮学校を除外するのは人種差別に当たり、人種差別撤廃条約の「教育に関する権利の平等保障義務」に違反していると指摘し、改善を勧告しました。日本政府は、「朝鮮学校でどんなことを教えているのか見えない」と本来の趣旨とは異なる見解から第三者機関に責任を転嫁しようとしています。どうして日本政府は一度言った事に責任を持たないのか、堂々と私たちを差別するのか。私は理解できません。今回初めて差別を現実として突きつけられ、とても悔しい気持ちでいっぱいです。

 私は、この場で、朝鮮高校への「無償化」適用を強く要望します。

 私は今、「何が何でも必ず適用させたい」という気持ちです。過去に1世、2世がたくさんの権利を得たように、今回は私たちの力で、自分自身のために、後輩たちのために、「無償化」を勝ち取りたいです。

 私は将来、大好きな朝鮮高校の教員になって、私が朝鮮高校で習った事を後輩たちに教えてあげたいという希望を持っています。そんな日を夢見ながら毎日勉強を頑張っています。

 朝鮮高校には、これからの子供たちの夢と希望がつまっています。

 日本の高校生と同じように、たくさんの夢と希望を持っています。

 私たちは、夢と希望に向かって、純粋に学びたい思いで学校に通っています。そんな私たちを差別しないでください。私は、日本政府に、差別や偏見なく、学業に励む朝鮮高校の生徒の姿をしっかりと見てほしいと感じています。私たちは、無償化が適用されるようにこれからもたたかっていきます。

 私は、今回の署名活動やこの集会を通じて、こんなにも多くの日本の方々が私たちを理解してくださっていると分かりました。黒崎の署名活動で「署名がんばって」と声かけて下さったり、ジュースやドーナッツなど差し入れを下さったり、銀行員の方が署名用紙を数枚持ち帰って署名して下さるなど、多くの方々が署名活動にご協力してくれました。

 最後に、この集会に賛同された福岡県日朝友好協会をはじめ多くの団体、会場の皆さまに深く感謝し、これからも朝鮮学校に協力してくださることを心からお願いします。ありがとうございました。

集会要請文

 鳩山新政権の注目政策が「高校無償化」、「子育て支援」の2大政策でした。高校の無償化では、文部科学省は当初、その制度導入の際には、各種学校である外国人学校もその対象とし朝鮮学校も含むとしてきました。

 今年に入り拉致問題に絡めて「朝鮮高校だけを無償化の対象から外すべき」との主張が閣内から起こりました。川端文部科学大臣は「外交上の配慮、教育の中身が判断の材料になるのではない」と発言するなど様々な議論が行われました。無償化に関して四月の制度開始時には朝鮮高校を除外しておいて、その「教育内容を検証するための第三者機関」を文部科学省内に設置して判断を委ねる方針を固めたと報道されています。

 文科省が「第三者評価機関」などを設けずとも、朝鮮高校が高等学校に類する課程を有するかどうかを公式に確認することは容易なはずです。

 政治や外交上の思惑で、「高校無償化」の対象から朝鮮学校だけを外そうとすれば、朝鮮学校に通う子どもたちの将来への希望と夢を奪うだけでなく、日本社会に新たな差別を生み出すことになります。

 朝鮮学校に学ぶ子どもたちは、これからも日本社会の一員として暮らしていく在日三世、四世であり、将来、日本人と共に社会の発展に貢献し日朝友好親善の架け橋となる貴重な人材であります。

 私たちは、鳩山総理大臣がぜひ朝鮮高校で学ぶ子どもたちに、日本の生徒やその他の外国人学校生徒と同様に「学ぶ権利」が公正に保障されることを切に願いつつ、次のように要望します。

 一、高校無償化が四月の制度開始から他の外国人学校と同様に差別なく朝鮮高級学校にも適用されるよう政省令で保障すること。

(朝鮮学校も「高校無償化」を!福岡緊急集会参加者一同)

[朝鮮新報 2010.3.31]