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「高校無償化」 東京・練馬の市民団体など30余人 雪の中で街頭宣伝

「無償化」除外反対!

スピーカーを手に通行人に呼びかける日本市民

 「朝鮮学校のみの排除は問題です!」

 「高校無償化は全学校で実施を!」

 3月9日、冷たい雪が降りしきる東京で「高校授業料無償化」から朝鮮学校を除外しようとする動きに懸念を持つ、東京・練馬区内の日本人団体・個人による街頭活動が行われた。

 参加したのは、I女性会議練馬支部、原水禁練馬、戦争に協力しない! させない練馬アクション、日朝ねりま女性の会、練馬教育問題交流会、練馬人権センター、練馬全労協、練馬地域ユニオン、部落解放同盟練馬支部、個人としての練馬区民有志など延べ30人。

 夕方5時から7時までの2時間、練馬駅前で330枚のチラシを通行人に手渡し、スピーカーを手に市民らの心に訴えかけた。

練馬駅前で330枚のチラシを配る日本市民

 「この問題は、特定の学校だけに対して、政府が公に差別を行うという、日本の民主主義の根幹に関わる問題だ。これを許したら将来に禍根を残すのではないかと、朝鮮民主主義人民共和国に対して批判的な人も含めて、立場を超えて共同で声を上げました。公権力が、特定の学校だけを排除するのはいけないという原則に立って、『対象の全学校を無償化して』という声をあげていきましょう!」

 I女性会議練馬支部長の田代瑞恵さんは82歳。街頭宣伝開始から終了まで、寒さに耐えながらチラシを手渡した。

 「だって、おかしいでしょ。おかしいことをおかしいと声をあげるのは当然のことよ」

 田代さんは日朝ねりま女性の会の代表も務めている。街頭活動の2日後には、「韓国併合100周年学習会」を控えていた。

 部落解放同盟練馬支部代表の堀純さんは、「ニュースを見てこれはひどいと思った。特定の団体、学校だけを除外するとは、許されないことだ」と感じたという。即座に有志らと連絡を取り合い、10日間の短い期間に「やるなら顔が見える形でやろう」と、街頭での行動に踏み切った。

 練馬では、90年代半ばのJR定期券問題の頃から女性同盟と関わりを持ち、「ミサイル」問題やチマ・チョゴリ切り裂き事件など、事あるごとにチラシを刷って街頭活動を行ってきたという。2日には、西武池袋線「大泉学園」駅前で18〜19時の間、2回目の街頭活動を行った。また、有志らで「全ての学校へ『高校授業料無償化』を! 練馬の会」を結成し、15日に石神井庁舎5階で18時30分から集会を開く予定だ。

3回シリーズの学習会

42人が参加した学習会

 一方3月11日、「韓国併合100周年学習会」(主催=日朝ねりま女性の会)が練馬区役所内の会議室で開かれ、日本市民と同胞女性ら40人余りが参加した。

 主催者代表の田代瑞恵さんは、「日本が朝鮮を植民地支配したときから100年を迎え、現代を生きる私たちに何ができるかと考えたときに、とにかく歴史を学ぼうと3回シリーズで学習会を開くことを決めた」と話した。

 過去100年間の歴史を3回シリーズで学ぶ最初の学習会では、「ドラマ『坂の上の雲』と朝鮮半島」と題して、大日方純夫・早稲田大学文学部教授が講演した。

 大日方教授は、日本・中国・南朝鮮の研究者、教育者が共同で執筆に当たった「未来をひらく歴史−東アジア3国の近現代史」(日中韓3国共通歴史教材委員会/編著、高文研/刊、1680円)の日本側の編集委員長を務めた。

 はじめに100年前の東京朝日新聞(1910年8月23日付)の複写を取り出し、同教授は「韓国併合」(同年8月22日)当時の「現実」を読み上げた。

 そして、当時の新聞が記事や広告で「二千年来の懸案解決して喜ぶべし 今や日韓合併! 提灯行列=祝賀会大いに騒いで大いに飲みこの慶事を記念せよ」(前掲紙、同年8月30日付)などという日本側の一方的な騒ぎを載せた事実を指摘した。

 「新聞に書いてあるからと言って真実かどうか」

 一般家庭にテレビやラジオが普及されていなかった時代。大きな力を持っていた新聞がはたして「真実」を語っていたか。

 「相手のため」「平和のため」「正義のための正しい戦争」の裏には、「苦渋に満ちた人々」がいたのではないかと強調した。

 大日方教授は、「当時の事実と真実は別のもの」と話し、「当時のことを今の視点で見る力、歴史を問う力をもたないと私たちは100年前に引き戻されてしまう恐れがある」と指摘した。

 ドラマのタイトルにもなっている「坂の上」に日本がのぼりつめる過程で朝鮮では何があったか。不平等条約の締結や反日運動などについても触れ、「軍人の目」からではなく、外からの目、民衆の目、女性の目から見た当時のできごとを思考し、時代の中で「見る目」を養う必要性を強調した。

 「ちょっと前はソ連の脅威、そして今は北の脅威。雲が隠さない『目』をもつことが大切なのは今も変わらない」(金潤順記者)

 2回目の学習会「朝鮮植民地支配をどう考えるか−『植民地責任』と『植民地近代』論(仮)」(講師=康成銀・朝鮮大学校教授)は4月19日、18時30分から東京・練馬区の豊玉リサイクルセンターで開かれる。

 資料代=500円。

 問い合わせ=TEL 03・3991・4758(安、田代)。

[朝鮮新報 2010.4.2]