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〈虫よもやま話〉 連載を終えて 真の虫「博士」に

家族、祖国、同胞、ウリハッキョの中で

 「虫の連載、読んでるよ!」

 この間、多くの同胞からこのような温かい言葉をかけていただきました。

 連載が決まった当初は1年間だけの予定でしたが、2年3カ月という長い期間(しかも私のわがままで番外編まで)連載させていただき、自身にとっても大変貴重な経験を積むことができました。

 当初は、「同胞が虫に興味あると思うか?」とよく言われましたが、いかがでしょうか。意外と興味のある方が多かったのではないかと手応えを感じています。「誰もが何かしらの接点を持つ存在」 −これこそ昆虫の魅力の一つですから。

研究に打ち込む筆者

 原稿を書くうえでの着想は、バイクや夜行バスでの移動時、そして道後の温泉に浸かっている時などにパっと思い浮かんだものがほとんどです。やはりその内容の中心は家族との思い出や、祖国、他地方に行った時の同胞たちからの何気ない一言、そして何よりも四国初中の児童、生徒たちの虫への純粋な疑問などからヒントを得ました。

 そしてそれらを勢いよくキーボードで叩き終えた後、漬けたてのキムチが発酵を経て味を増すように、何カ月も寝かせ、良い頃あいに読み直し、また書き直して、最後に声に出して読んだ後に入稿しました。

 思い返してみれば、幼い頃からアボジの厳しい手本を基に毎日のように自然の中で遊んでいました。そのアボジとの最期に交わした会話が虫採りや釣りの話だったほど。そしてそんな好き放題に駆け回る私をオモニは、「家で勉強しなさい!」と叱咤するのではなく、「あんたの好きなようにしたらいい」と言って大きな心で育ててくれました。

 そのおかげで、日が暮れるのも忘れて公園で虫採りに夢中だった私を親が先生や警察と一緒に捜しまわったり、クワガタムシが採りたくて他人の山へ入り樹皮をはがしまくったあげくこっぴどく怒られたり、ある日はそんな過程で本物の高価な宝石を拾ったりと、思い出は数え切れません。

 その頃、先生や女性同盟のオモニたちから、「お! 虫博士!」と冗談半分に呼ばれていましたが、今では真の虫「博士」になるために、研究に傾注する日々を送っています。

 しかも民族教育の花園で「網」を振りまくっていたおかげで、今では「網」の中で虫だけではなく、同胞社会や祖国への大きな夢までも見ることができるようになりました。

 必ずや自身の「網」で、その夢の数々を採集する決意です。

 そしてそれらを立派な標本にして、民族や後代へのかけがえのない贈り物にしたいと思っています。

 本連載を機に、昆虫類をはじめ少しでも自然に興味を抱きその魅力や大切さについて感じていただけたならうれしいです。

 本当に長い間おつき合いしていただき、心からコマプスムニダ!(韓昌道、愛媛大学大学院博士課程)

[朝鮮新報 2010.4.16]