〈10学年度朝鮮大学校入学式〉 同胞社会、父母の期待に応えたい |
2010学年度朝鮮大学校(東京・小平市)入学式が10日、同校講堂で行われた。総連中央の許宗萬責任副議長、李沂碩副議長兼事務総局長、梁玉出教育局長、同校の張炳泰学長、朴英植理事長をはじめとする理事、中央団体、事業体の活動家、新入生、学父母、教職員、在校生ら1400余人が参加した。 まず、李沂碩副議長が朝鮮教育省から送られてきた祝電を紹介した。 続いて許宗萬責任副議長が祝辞を述べた。 許宗萬責任副議長は、総連第22回全体大会を迎えるための「90日運動」が行われている時期に入学した新入生と、厳しい環境のなか朝大に入学させた学父母らに敬意を表し、新入生たちが在日朝鮮人運動と朝大発展の新たな要求に沿った高尚な抱負と広い視野をもって、新たな学生生活を意義深く過ごしてもらいたいと述べた。 張学長は報告で、数年前から単位制教育制度を導入し、09年度からは全学部、学科を総合的に包括するコンピューター網を学内に敷いたことに触れ、今後も学父母らの要求と期待に応えられるよう教育していきたいと述べた。 教育学部の鄭貴祥さん(神戸朝高出身)は新入生を代表し、強盛大国建設が進められ、総連第22回全体大会が開かれる時期の新入生として、同胞社会と父母の期待に応えていきたいと決意を表明した。 朝鮮大学校入学式の会場で 新入生の決意と親の期待 10日に行われた朝鮮大学校入学式では、新たな希望と抱負を胸に入学した新入生と、彼らに熱い視線を送る学父母の姿が見られた。 父母への感謝込め
今年の入学式は、総連と同胞社会、とくに民族教育をとりまく環境が厳しい中で行われた。 新入生らは、「高校無償化」対象から朝鮮高級学校を除外することに反対し、各地でたたかってきた青年たちだ。民族教育の最高学府である朝鮮大学校で大いに学び、同胞社会をとりまく諸問題解決の突破口を見つけていこうという認識を彼らは共有している。 弁護士、プロスポーツ選手をはじめ、朝大卒業生によって拓かれた道を、新入生らは見てきた。そして彼らはさらに広い視野で「夢」を追いかけるようになったという。 その「夢」は、在日同胞をとりまく環境が厳しければ厳しいほど、より具体的な形で現れているようだ。 今年の新入生も、例年のように経済状況が厳しいなか、朝大に送ってくれた父母と熱心に進路指導にあたってくれた恩師への感謝を胸に、勉学と朝青活動などを通じスキルを高め、これまでの恩を返したいと話していた。 文学歴史学部に入学した盧成奎さん(茨城初中高出身)は、母校で教員として子どもたちの民族心を育んであげたいという。 在学中、とくに夏期社会実践活動などを通じて総連支部を訪ね、ひとりでも多くの生徒が朝鮮学校に通うようがんばりたいと話す。 「朝大への入学を親に反対された時期もあったけど、今日このように入学させてもらった。ほんとうに感謝している。同胞社会の期待に応えるためにも、勉学に励みたい」
息子、娘への思い
昨年7月の祖国訪問を機に朝鮮大学校進学を決意したという金智瑛さんは短期学部に入学した。 「専門学校ではなく、朝鮮大学校に行くという、祖国から戻ったときの娘のこの言葉がうれしかった」。和歌山から約30年ぶりに母校・朝大を訪ねたアボジの金茂幸さんは言う。朝大で出会い、同じ日に卒業し、結ばれたという北海道出身のオモニ、金明淑さんと向き合い微笑んだ。両親は、娘が朝鮮人としての自覚を持ち、生涯の友だちを見つけてもらいたいと語った。 姜文錫さん(神奈川)の息子、姜世浩さんはアボジと同じ文学歴史学部に入学した。有能な人材になれるようがんばってもらいたいという姜文錫さんは、「朝大というすばらしい環境で勉学に励み、地方の友だちとの仲も深めてもらいたい」と語った。 外国語学部に入学する康勝行さん(東京中高出身)のオモニ、高久恵さんは「なによりも朝鮮人としての信念を大学生活でしっかり培ってほしい」と願う。入学式には康勝行さんの祖母も訪れた。「勉強をしたくてもできなかった祖母の分まで、たくさん勉強してくれたら」。高久恵さんはしみじみとした口調で話した。
政治経済学部法律学科に入学した李章鉉さん(東京中高出身)のアボジ、李培繧ウんは久しぶりに朝大のキャンパスに入った。
「図書館も新しくなっているし、以前より環境が良い。このように整った施設で、息子が確固たる信念と民族性を持った朝鮮人に育ってくれたらうれしい」と語った。 朝大近辺で飲食店を営みながら、朝大の歴史を目の当たりにしてきたという慎宇一さん、韓明美さん夫婦(東京)は、次男の慎昌友さんが経営学部に入学。韓さんは「『高校無償化』適用のための運動を通じ、息子は先代がどのようにして民族教育を守ってきたのかわかったと思う。そのことを忘れず、将来は実力ある同胞商工人になってほしい」と期待を込めて言った。 「オモニ、朝大いってええか?」。家業(お好み焼き屋)を継いで店を大きくするため、経営を学びたいという息子、金仁照さん(大阪朝高出身)の言葉に感動したという梁貞淑さん。「全国高校ラグビー選手権大会」で母校をベスト4に導く原動力となった仁照さんは、日本の大学への推薦を断った。「親思いの末っ子がいつになく大きく見える」と貞淑さんは目を細めていた。(取材班) [朝鮮新報 2010.4.19] |