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「高校無償化」 適用求める幅広い運動、高まる支持世論

民族教育差別は許さない

「検討」は不当、「即時適用」を

3月8日、広島初中高で開かれた「朝鮮高級学校の無償化適用を求める広島県緊急集会

 1日、日本政府は朝鮮学校だけを排除したまま「高校授業料無償化法」を施行した。

 「無償化」から朝鮮学校を除外しようとする動きがメディアを通じて表面化した2月末から朝鮮学校の保護者、教職員、生徒、そして各界層の在日同胞らは日本政府の不当な民族差別政策に反対して記者会見、集会をいっせいに開き街頭宣伝、ビラまき、署名運動などを繰り広げた。

 東京、大阪、京都など日本各地では大規模集会が行われた。各地の朝青、青商会、留学同の青年たちや女性同盟と各校のオモニ会メンバーも街頭に出て、「無償化」排除の不当性を訴える宣伝活動を行った。

 同胞らは、在日朝鮮人の民主主義的民族教育事業を自らの政治目的実現に利用しようとする日本政府の不当な行為を断罪した。そして、実践行動を通じて、朝鮮学校と生徒らに対する差別を絶対に許さないという固い意志をアピールした。

 「無償化」適用を求める同胞らの声は、日本の多くの団体と広範な市民の積極的な支持と声援を集めながら広く浸透していった。

 文部科学省は現在、外国人学校の中で朝鮮学校に限り、専門家らによる「検討の場」で「無償化」の対象となるかどうかを審査し、その決定を8月ごろまで先送りすると伝えられている。

 このような差別的な処遇は日本の憲法や教育基本法に抵触し、「教育の機会均等に寄与する」という「高校無償化」の目的にも真っ向から反するものだ。

 現在日本各地の朝鮮学校生徒らと保護者、同胞らは幅広い日本の市民たちの支持世論に支えられながら、日本政府が差別なく、すみやかに「無償化」を適用するよう求めて運動をさらに力強く展開している。

政権内でも不当性を指摘

3月27日、東京・渋谷で朝・日1千人の参加者のもと行われた緊急行動

 「無償化」除外の不当性を指摘する声は、日本の政府与党の中からも上がった。

 社民党党首の福島瑞穂少子化相は2月26日、「できるだけ多くの子どもたちを応援するという立場に立つべき」だとしながら、「無償化」からの朝鮮学校排除に反対の意思を表明した。

 この問題は3月2日の国会の場でも取り上げられ、社民党の阿部知子政審会長は、「教育内容が見えない」という鳩山首相の発言に疑問を投げかけながら、朝鮮学校生徒たちと面会することを要求した。

 国民新党の亀井静香金融相は3月3日、「差別する必要はない」と、朝鮮学校を対象に含ませる立場を表明した。公明党の山口那津男代表も同日、「教育の機会均等、法の下の平等は重要な原則だ。日本に永住権を持つ子女、日本で長く生活する外国人の子女にも基本的には日本国民と同じような待遇がなされるべき」だと、朝鮮学校排除に否定的な見解を示した。

 神奈川、兵庫、広島、三重をはじめとする県知事らも朝鮮学校支援に肯定的な見解を表明した。

 とくに3月16日、井戸敏三兵庫県知事は県独自の授業料軽減補助金を新たに支給する方針を明らかにし、3月30日、湯崎英彦広島県知事は新学年度から朝鮮学校を授業料減兔措置拡充の対象にする方針を打ち出した。

たゆみないたたかいと連帯の拡大

2月20日

 中井洽拉致問題担当相が「北朝鮮に制裁を行っていることを十分に考慮すべき」だとしながら、朝鮮学校を「無償化」から除外させることを川端逹夫文部科学相に要求していた事実が報道を通じて明らかに。

2月24〜25日

 ジュネーブで開かれた国連人種差別撤廃委員会の対日審査会合で、「無償化」から朝鮮学校を除外する動きに複数の委員らが疑念を表明。審査の結果、同委員会は教育機会の提供において差別がないよう日本に勧告した(3月16日)。

2月25日

 朝鮮学校関係者らが衆議院第1議員会館で記者会見。学校法人東京朝鮮学園の金順彦理事長は、「無償化」除外は国際人権規約と日本国憲法の精神に反する不当な民族差別、人権侵害だと批判。以後各地の朝鮮学校関係者たちも記者会見を開き、「無償化」排除の不当性を訴えた。3月3日、日本外国特派員協会でも記者会見を行った。

3月2日

 東京朝鮮中高級学校の生徒らが各十条、東十条、板橋、赤羽、王子の各駅で街頭宣伝と署名活動。各地生徒らも宣伝および署名活動を行った。

3月3日

 衆議院文部科学委員会の田中真紀子委員長が東京朝鮮中高級学校を視察した(写真)。

 記者会見で「朝鮮学校の教職員、保護者、生徒らと率直な意見交換をした。

 多角的に、総合的に結論を出す」。

 生徒らは前日まで集めた5千人の署名用紙を田中委員長に提出した。同日、社民党の又市征治副党首も訪問。

3月3日

 韓国進歩連帯の自主統一委員会が声明発表。日本政府に対して朝鮮学校差別をやめ、「無償化」の対象に必ず含ませなければならないと主張。南朝鮮の多くの団体も「無償化」の適用を主張する声明などを発表した。

3月4日

 大阪で700余人の参加のもと緊急集会(写真)。

 5日には京都で500人が参加した同胞緊急集会が、27日には東京で同胞、日本市民1千人が参加した集会と街頭デモが行われた。

3月5日

 日本弁護士連合会会長声明が発表され、教育機会の均等に反し、国際人権規約などが禁止する差別に当たると強調。法曹界だけではなく幅広い団体が「無償化」にかかわる声明を発表した。

3月11日

 朝青、青商会、留学同などの団体が各地で同時行動。

 北海道、福島、茨城、群馬、栃木(写真)、埼玉、東京、千葉、長野、愛知、岐阜、京都、兵庫、福岡など14の地域で計2万2千枚のビラを配布。

3月16日

 各地で活動するオモニ会の代表など350人が東京に集結し、「朝鮮学校無償化要求! オモニたちの緊急集会」。参加者らは、「世代が代わっても民族教育を守っていくというオモニたちの熱い心は今日も変わりがない」と表明。

4月1日

 日本政府が朝鮮学校のみを排除したまま「高校無償化」を施行したことと関連して朝鮮学校関係者と保護者、生徒らが参議院議員会館で記者会見(写真)。

 朝鮮学校だけ除外することは絶対に許すことができないと、「無償化」の適用実現までたたかっていくと表明。

4月23〜24日

 朝青、青商会、留学同が再度同時行動。「4.24教育闘争」の記念日に際して各地でいっせいに宣伝活動を行った。

[朝鮮新報 2010.4.28]