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「高校無償化」 同胞の主張と支持の声

■「差別なく制度の対象に」

学校法人東京朝鮮学園・金順彦理事長の談話

 朝鮮学校だけに対する審査は、「教育の自由」を無視して政治的な思惑によって教育に不当に介入しようとするものであり、外国人学校の間に新たな差別を持ち込むものとして、法の下の平等に明らかに違反する。

 朝鮮学校に通う子どもの学習権に対する重大な侵害にもなる。日本政府は、民族や国籍の違いによるこれ以上の差別を生じさせぬよう、朝鮮学校を他の外国人学校と同様に差別なく、同時に「高校無償化」制度の対象に含めるべきである。(4月1日)

■「学ぶ権利、公正に保障を」

朝鮮学校オモニ会中央連絡会の要望書

 4月の制度開始時に朝鮮学校を除外しておいて、教育内容を検証する「第3者機関」に判断をゆだねる方針を固めたという報道に接し、大きなショックを受け憂慮している。

 文部科学省が「第3者機関」などを設けずとも朝鮮高級学校が高等学校に類する課程を有するかどうかを公式に確認することは容易なはずだ。鳩山首相がぜひ朝鮮学校生徒にお会いくださることと、日本の生徒や他の外国人学校生徒と同様に「学ぶ権利」が公正に保障されることを切に願う。(3月16日、首相と文部科学相あての要望書)

■「法の下の平等に反する」

日本弁護士連絡会・宮崎誠会長の声明

 朝鮮学校に通う子どもたちが「無償化」法案の対象外とされ、高等学校、専修学校、インターナショナル・スクール、中華学校の生徒と異なる不利益な取り扱いを受けることは、中等教育や民族教育を受ける権利にかかわる法の下の平等に反するおそれが高く、さらには国際人権規約、人種差別撤廃条約、子どもの権利条約が禁止する差別にあたるものであって、この差別を正当化する根拠はない。当連合会は、高校無償化法案の適用において朝鮮学校が不当に排除されることのないように強く求めるものである。(3月5日)

■「政治的理由からであってはならない」

日本高等学校教職員組合・藤田新一書記長の談話

 無償化が適用されないとすれば、教育の機会均等の保障に反し、民族・国籍により差別し排除するという問題で政府の姿勢が根本から問われる。

 「高校無償化」は教育を受ける権利を社会的に保障する立場から実施されるものであり、政治的理由から特定の学校を排除することはあってはならないことだ。朝鮮学校の教育課程が「高校に類する」ことは、国公立大学を含む大半の大学が卒業生の受験や入学を認めていることをみても明白だ。高校野球やラグビー、サッカー選手権にも参加が認められて出場している。「無償化」除外はまったく道理がない。(3月23日)

■「教育内容介入は憲法違反」

社団法人自由人権協会の緊急声明

 「高校無償化」の対象とすべきか否かの判断は、外国人学校の中で朝鮮学校についてだけ教育内容が問題とされようとしている。これは、本来の趣旨と離れて、政治的な思惑によって教育に介入しようとするものであり、憲法23条、26条に反しているだけでなく、恣意的な差別として憲法14条に反する疑いが強い。

 子どもの権利条約30条、自由権規約27条および憲法23条、26条により教育の自由(教育権)は外国人学校にも保障されている。教育内容を判断材料にすることは、学習権に対する重大な侵害となることは明らかだ。(3月25日)

−祖国

■「自民党時代よりさらに後退」

朝鮮外務省の宋日昊・朝・日国交正常化交渉担当大使

 「高校無償化」の扱いは理解しがたい。(民主党政権の対朝鮮政策は)自民党時代の非友好的な政策を踏襲し、さらに後退している。在日朝鮮人生徒への過酷な心理的圧迫で、孤立感を与える深刻な民族差別だ。一日も早く、無償化されることを期待したい。

 無償化されれば、政権が代わって(政策が)新しくなったと受け止め、こちらとしてもやるべきことをやる。期待は崩していない。(4月17日、共同通信記者との会見)

■「慎重かつ公正に処理を」

労働新聞論評

 日本の反動層の策動は、在日朝鮮学生に重い学費負担を強いることで彼らの学ぶ権利を奪い、ひいては朝鮮学校の存在自体を危うくしようとする無分別な民族教育弾圧行為である。朝鮮学校を支援対象外にしようとするのは、その延長線で行われる反総聯・反朝鮮騒動である。

 民族差別政策で朝・日関係を危機に追い込むのは、日本にとっても有益ではない。日本は、この問題を慎重かつ公正に処理して、事態が最悪の状況に陥らないようにすべきである。われわれは、日本の今後の行動を注視するであろう。(3月3日)

−国際、南朝鮮

■教育機会の差別是正を勧告

人権差別撤廃委員会の日本政府提出の報告書に対する審査結果

 C懸念と勧告

 22、委員会は子どもの教育に差別的な効果をもたらす以下のような行為に懸念を表明する

 (d)外国人のための学校や、締約国に居住する南朝鮮・朝鮮や中国出身者の子孫のための学校が公的扶助、助成金、税の免除にかかわって差別的な取り扱いを受けていること。

 (e)「無償化」から朝鮮系の学校を排除すべきとの提案をしている何人かの政治家の態度。

 委員会は、教育機会の提供に差別がないようにすること、そして締約国の領土内に居住する子どもが就学および義務教育達成に際して障害に直面することのないようにするよう勧告する。(3月16日、抜粋)

■「植民地民族差別時代へと逆行」

真実と未来、国恥100年事業共同推進委員会の声明

 朝鮮学校に対して支援を行わないということは、在日朝鮮人に対する歴史性と現実性をすべてを無視する差別的な所業にほかならない。

 鳩山首相の発言は植民地民族差別時代へと逆行する発言以外の何ものでもなく、鳩山首相が公言している過去の歴史の清算と東アジア共同体議論に対する信頼まで否定するものである。植民地主義の清算を心から願う世界の人びとは、「無償化」政策をその試金石として鋭意注視している。(3月4日、同委員会は国会議員を含む各界人士126人、55団体を網羅する団体)

[朝鮮新報 2010.4.28]