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神戸朝高で公開授業 日本市民ら80人が訪問

「民族教育は必要」「受け止める社会作りを」

神戸朝高で行われた公開授業

 神戸朝鮮高級学校(黄成鶴校長)で4月29日、公開授業が行われた。学父母のほか、国会議員、県議会議員、市議会議員、神戸市教育委員会をはじめとする教育機関関係者、市民団体関係者など約80人が同校を訪れた。

 この日は、国語(朝鮮語)、日本語、英語、理科、数学、社会、世界地理、朝鮮史、選択科目の美術、音楽などの授業が公開された。

 日本の市民が多く訪れたこともあり、とくに注目を集めたのは「神戸朝高生の主張」と題したスピーチコンテストが行われた日本語の授業だった。

 生徒たちは、学校生活、クラブ活動、公共の場でのマナーや道徳、父母の愛情、将来の希望、環境問題などについてそれぞれユニークな視点で語った。朝鮮学校の生徒たちがどのような考えを持っているのかを知ろうと参加者たちは熱心に耳を傾けていた。

 授業を参観したある日本学校の教員は、「人前で何かを主張することは簡単なことではないが、ここの生徒たちは自分の考えをしっかりと他者に伝えていた」と話し、生徒たちの姿から教員の質と授業の水準の高さがうかがえたと語った。

懇親会 日本の人たちを信じたい

懇親会で質疑応答に答える黄成鶴校長

 公開授業に続いて、懇談会が行われた。

 懇談会では学校側から、教育カリキュラム、課外授業、クラブ活動、生徒会活動、進路指導についての解説があった。これまで同胞福祉施設に車椅子やマッサージ機を寄贈してきた生徒たちのボランティア活動や、生徒たちの礼儀正しさは開校以来の伝統的な教育成果であることが強調された。続いて質疑応答が行われた。

 神戸国際支援機構・岩村義雄主幹(牧師)は、「生徒と教員が節度ある関係を構築していたことが印象深い。アイデンティティー教育は日本の学校でも必要なことだと痛感した」と参観の感想を語った。

 地元選出の土肥隆一衆議院議員(民主党)は、「英語を朝鮮語で教えていることをあらためてすごいと思った。民族教育は国会でも話題になるが、民族が違えばそれに合った民族教育が必要なのは当然のこと」と述べた。また、日本社会には同化を促す風潮があるとしたうえで、「アイデンティティーを求める民族教育は反日的なものではない。民族教育を受け止める社会作りが必要だ」と指摘した。

 懇談会では、全琴香さん(2年)が生徒を代表し「高校無償化」に対する思いを語った。

 全さんは、同校の吹奏楽部の一員として3月26日、春の選抜高校野球大会に選ばれた近畿地区代表の神戸国際大学付属高校を同校および県立神戸商業高校と合同で応援した。同じ場所で同じ曲を演奏するうちに互いに打ち解け、選手たちを心から応援することができたという。その過程で、協力し努力することが交流につながることを学んだ。

 しかし、同じ高校生であるはずの自分たちの前にだけ「無償化」除外の壁が現れたことに衝撃を受けたとし、「私たちは同じ高校生。共に未来が開かれているはずで、学ぶ権利がある。日本の人たちを信じたい」と涙ながらに訴えた。

 オモニ会の文直子会長(24期卒)は、「『無償化』の適用は単純なお金の問題ではない。子どもたちと学校の未来がかかった問題だ。オモニたちはそこに存在する差別をなくしたいだけだ」と語った。(鄭尚丘記者)

[朝鮮新報 2010.5.17]