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朝鮮学校オモニ代表団が国連で要請活動

民族差別是正、「無償化」適用求め 「子どもの権利条約」対日審査で

子どもの権利委員会の対日審査を傍聴するオモニたち

 日本の「子どもの権利条約」(児童の権利に関する条約)順守状況に関する審議が5月27〜28日、スイス・ジュネーブの国連人権高等弁務官事務所(国連欧州本部の施設)で行われた。

 子どもの人権が守られているかどうかを調べる本審議に「朝鮮学校オモニ代表団」が参加し、日本当局による民族教育に対する差別的な政策を一日も早く取りやめ、朝鮮学校に通う子どもたちに対する暴言、暴行事件根絶のための積極的な措置を講じるよう訴えた。審査結果を踏まえた総括所見は6月中旬に発表される予定で、朝鮮学校に対する差別是正を勧告する内容が含まれる見通しだ。

チマ・チョゴリでロビー活動

子どもの権利委員会の委員らに要請を行うオモニたち

 神奈川、埼玉、茨城、愛知、大阪、兵庫の6府県下の朝鮮学校オモニ会と女性同盟の役員ら13人で構成された代表団(団長=金栄淑)は、「子どもの権利条約」対日審議を傍聴。朝鮮学校を「高校無償化」の対象から除外するなど、日本当局が敢行する民族差別の現状について委員らに報告し、民族教育への理解を求めた。

 「子どもの権利を守り、立派な朝鮮人に育てたい」−オモニたちはその一心で、言葉の壁を乗り越え、精力的に活動した。

 チマ・チョゴリに身を包んだオモニたちは、国連人権高等弁務官事務所、国連欧州本部、国連朝鮮代表部などを訪問し、委員やNGO関係者、記者らにビラを配るなどして民族教育への理解を求めた。NGO会合などを通じた交流も積極的に行った。

 代表団は、昨年12月の「在特会」による朝鮮学校襲撃事件、「高校無償化」除外に至った経緯について説明し、朝鮮学校の生徒と保護者たちが民族教育の権利を侵害されている現状を訴えた。

 そして、その本質が植民地時代から継続する植民地主義、民族差別にあることを指摘した。

委員会、是正勧告の見通し

子どもの権利委員会に参加した朝鮮学校オモニ代表団のメンバー

 同委員会が扱うテーマは多岐にわたり、子どもの権利に関する専門家、少年兵問題の専門家、マイノリティー問題の専門家などがそろう。日本審議ではいじめ、自殺、性差別、少子化など、幅広い問題が取り上げられた。

 マイノリティーの教育問題としては唯一、在日朝鮮人問題(「高校無償化」問題)が取り上げられた。日本は1994年に「子どもの権利条約」を批准。158番目の締約国となった。

 条約審議は、政府による報告のあと、それに対して審査を行う委員たちが質問する形で進められる。NGOには発言権がない。したがって休憩時間などにロビー活動を行い、問題点を提起する。日本政府の答弁に問題点があればそれを委員たちに知らせ、問題の再提起を求めたりもする。

 5月27日午後の審議では、2人の委員が日本政府に対し朝鮮学校の「無償化」除外について質問した。代表団がほぼすべての委員に接触したことが効果的だった。

 日本政府は、「無償化」の対象になるには本国認定や国際的な評価機関による認定などの基準を満たせば良いと言い放った。これに対し代表団は、中井拉致問題担当大臣の朝鮮学校べっ視発言など朝鮮学校が除外された経緯や政治的抑圧であり民族差別であるという同問題の本質について、紙に記し委員に手渡すなど、臨機応変に対応した。

 審議時間の関係上、日本政府の不十分な答弁に対して再度問いただす時間がなかったが、委員たちは「政府の答弁が不十分なのでこの問題に関して必ず勧告に盛り込む」と言っていた。また「本当に朝鮮学校だけが除外されているのか」とあからさまな差別に驚く委員もいた。国際的な基準に照らし合わせた場合、想像すらできないほどの許しがたい差別だということだ。

 オモニ会連絡会と女性同盟は、国連での要請活動をきっかけに民族教育の権利拡充運動をよりいっそう強めていきたいと意気込んでいる。(廉文成・朝鮮大学校外国語学部助教)

[朝鮮新報 2010.6.7]