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「高校無償化」 東京で1200人参加の市民行動 集会、デモで訴え

「無償化」即時適用を

 「朝鮮学校差別を許さない!『高校無償化』即時適用を求める市民行動」が6月27日、東京都内で行われた。「『高校無償化』からの朝鮮学校排除に反対する連絡会」の主催で行われたこの日の市民行動には、日本の市民団体メンバーと各階層の在日同胞、東京、神奈川の朝鮮高級学校の生徒、教員ら約1200人が参加した。参加者らは港区の芝公園で集会を開いた後、「無償化即時適用!」などのスローガンを叫びながら常盤橋公園(千代田区)までデモを行った。

「力を合わせたたかう」

朝高の「無償化」除外に反対してスローガンを叫ぶデモの参加者たち

 今回の市民行動に先立つ3月27日には「高校無償化からの朝鮮学校排除に反対する緊急行動」が約1千人の在日同胞、日本市民の参加の下、渋谷で行われている。これは、「立川朝鮮学校(西東京朝鮮第1初中級学校)支援ネットワーク・ウリの会」が、「無償化」問題は日本人自身の問題であり、朝鮮学校排除の動きを許してはならないという呼びかけがきっかけとなり実現したもの。

 今回の市民行動は、日本政府が4月から朝鮮学校を実質的に排除した形で「無償化」を実施した後、この問題と関連して東京で行われた初の大規模アクションとなった。3月の緊急行動時の2倍以上にのぼる142団体が賛同団体に名乗りを上げ、参加者数も大幅に増えた。

 芝公園で行われた集会では、主催者側のあいさつに続いて、日朝学術教育交流協会の園部守事務局長、東京朝高3年生の高英載、林雪洲さん、神奈川朝鮮学校オモニ連絡会の孔蓮順会長、世田谷区議会の上杉裕之議員(民主党)、東京経済大学学生の隅田聡一郎さんが発言。「無償化」即時適用に向けて繰り広げてきた活動を報告した各代表は、「無償化」は朝鮮学校にも当然適用されるべきだとあらためて強調し、今後も力を合わせて「無償化」実現のためにたたかっていこうと呼びかけた。

 集会ではまた、民主党と社民党の国会議員から送られてきたメッセージが紹介された。

 集会の最後に、参加者一同によるアピールが採択された。

 アピールは、朝鮮学校だけを「無償化」の対象から除外するのは政府による差別、人権侵害だと強調。さらには、朝鮮学校を「無償化」の対象に含める問題を専門家会議で検討するという日本政府の方針を問題視し、「4月の施行の時点で朝鮮学校だけを別扱いしていること、それ自体が差別だ」と指摘した。

 そのうえでアピールは、朝鮮学校に「無償化」を即時適用すること、朝鮮学校をはじめとする外国人学校に対する差別的な処遇を改め、日本に暮らすすべての子どもに学ぶ権利を保障することを求めた。

 集会後、参加者らは芝公園から新橋、銀座、東京駅前を通って常盤橋公園まで約4・5`bの道のりをデモ行進した。横断幕やプラカード、旗などを手に、「高校無償化をすべての生徒に!」「朝鮮学校を排除するな!」「教育の差別に反対!」「子どもは平等だ!」などのスローガンを叫び、道行く人びとにビラを配った。

「政府は早急な対処を」

 「高校無償化法」が差別的な形で施行されてから3カ月。朝鮮学校に対する「無償化」適用をこれ以上遅らせてはいけないというのが参加者たちの一致した声だった。

 豊島区在住の20代の日本人女性は「朝鮮学校除外は明らかな差別。政治問題と結びつけて問題の解決を先送りするのは間違っている。政府は早急に対処すべきだ」と話した。

 3月の緊急行動にも参加した東京朝高3年生の金大伸さんは、「たくさんの日本市民が私たちのために声を上げてくれるのを見ると力が沸いてくる。朝高生はこの間、署名運動などさまざまな活動を行ってきたが、これからも権利獲得のために最後までたたかっていく」と決意を語った。

 学父母たちも「民族教育と子どもたちのためには一歩も引き下がれない」と、声を張り上げていた。

 集会で司会を務めた東京都公立学校教職員組合の長谷川和男さんは、「賛同団体、参加者数ともに3月の緊急行動から大幅に増えたのは、朝鮮学校に対する『無償化』即時適用という主張が広範な層に広がっている証拠だ」と話した。

 また、この問題を通じて「日本の民主主義の成熟度と人権のレベルが問われている」と指摘し、「『無償化』即時適用を勝ち取るため、今後もがんばっていきたい」と意気込みを語った。(取材班)

[朝鮮新報 2010.7.2]