〈続 おぎオンマの子育て日記-A-〉 さまざまな「免罪符」 |
家事と仕事を完璧にこなし、子どもの面倒をみつつ余裕を持って子どもと共感しあう。そんなオンマに私はなりたい。しかし現実はほど遠い。 チユニに「免罪符って知ってる?」と聞いてみた。知らないというので、中世ヨーロッパで「これを買えば罪を免れますよ」と教会が売ったのだと説明する。娘はけげんな顔をする。「そういうの欲しいなと思う時があるでしょう?」と言ってみたが、共感してくれない。 昨夏、勤め先をリストラされたのを機に朝鮮語翻訳・通訳者として再出発した。大儲けして、アッパに「大学院でも行かせてあげようか?」と言ってあげるのが夢だと公言している。現実には大した稼ぎはなく、仕事のムラは激しく、夜遅くにくたくたで帰宅したアッパが自分で温め直したご飯を食べるという日もあるが。 この春、大きな翻訳の仕事を得た。子どもたちは3日も4日も続くセルフサービスのカレーにも不平を言わず、オンマを応援してくれた。子どもとアッパも一緒に家事をしたが、翻訳が完成する頃の家は、実家のオモニが見たら卒倒するに違いない状態だった。 そんな時に私を「手抜きをしないえらいオンマ」と言ってくれる人がいた。アッパが聞いたら鼻で笑うであろう、その錯覚は、家でキムチを漬けるという事からもたらされたらしい。「キムチは家で漬けてるの」。これは、かなり効力のある免罪符のようだ。キムチ大好きの食べ盛りが3人いると、買うより漬ける方がお得で気が楽だ。ひんぱんに漬けると、簡単な漬け方や家族の好みに合わせるコツもわかるようになる。忙しく気高い(?)オンマたちに、ぜひおススメしたい。 昨日、理科の課題帳をなくしたサンホは、先生に「見つかるまでサッカー禁止」を言い渡された。地獄に落ちたような顔をしていたので、「今後、気をつけますのでサッカーをさせてあげてください」と手紙を書いてあげた。サンホはありがとうと言い、今後は気をつけると約束した。さて、この手紙は誰の「免罪符」でしょうか。(李明玉) [朝鮮新報 2010.7.2] |