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一橋大で「高校無償化」問題を考える学習討論集会

「孫の代まで差別やめぬ日本」

 「朝鮮学校の『高校無償化』問題を考える学習討論集会」(主催=「高校無償化」措置を朝鮮学校に適用することを求める大学教員の会)が3日、東京・国立市の一橋大学で行われた(写真)。

 同大学教員らは、3月18日、「高校無償化」措置の朝鮮学校への適用を求める要請書を、1000人にのぼる大学関係者の署名とともに文科省に提出した。内閣が変わり、参院選挙を経て、文科省内の「専門家会議」で朝鮮学校の処遇が決定される8月末が迫るなか、再度、朝鮮学校の「無償化」措置からの排除に反対し集会を開いた。

 集会では、「歴史克服・在日状況・そして民族教育」について、高演義・朝鮮大学校客員教授が講演し、「『高校無償化』法の構造と問題点」について、米田俊彦・お茶の水女子大学教授が報告した。

 高教授は、「朝鮮学校閉鎖令」時(1949年)に小学校1年生であった自身の体験と、現在、朝鮮学校に通う4年生の孫娘が置かれた現状を対比させ、「今年は朝鮮が日本の植民地になって100年の節目の年。孫の世代にまで朝鮮学校に対する『除外』が続けられる日本の異常さに戸惑いを感じる。日本は、100年間ちっとも変わらない珍しい国だ」と話し、「私たちにとって日本の植民地支配はまだ終わっていない。この100年間、個人的には67年間、在日朝鮮人である私は、ずっと日本という帝国に、『囚われ、閉じ込められた、声なき存在』として、放置されてきた。この間何一つ解決されたものはない。在日朝鮮人にとって日本植民地主義は終わっていない。在日は孫の世代まで『除外』の対象として扱われている」と語った。

 また、米田教授は、日本の教育制度が、「戦前は天皇制と一体になったものであり、現在も非常に権力的。在日朝鮮人に対する教育差別が遠慮なく本性を表しているところに、日本の教育制度の本質が見える」と指摘した。そして、@「高等学校の課程」A大学入学資格B専修学校の3点から問題点を探り、「学校を国民教育(国民支配)の装置と考え、学習指導要領をその重要な手段とする教育の基本的なスタンスはしばらく変わらない。加えて朝鮮に対するバッシングも終わりそうにない。しかし、民族教育の権利や自由を前提とする外国人学校制度を構築する必要がある」「法に基づく制度は、公平、公正なものでなければならず、すべての人々の権利を同等にするもの。戦後の日本の朝鮮学校に関する制度は大きくゆがんだもの」「朝鮮学校に限らず、半ば巻き添えになって支援が遅れている他の外国人学校も含めて、根本的なあり方の見直しがなされなければならない」と語った。

 集会では、活発な質疑応答と発言などが行われた。そして、菅直人総理、川端達夫文科相、仙谷由人官房長官に宛てる「『高校無償化』措置からの朝鮮学校の排除にあらためて反対する大学人の要請書」が参加者一同の拍手で採択された。

 主催者の一人である鵜飼哲・一橋大学教授は、開会に先立ち、「今回の問題の根は『無償化』政策が適用されれば解決される問題ではない。日本社会における朝鮮人の民族教育に対する差別の根は一体どこにあるのか。今回のことをきっかけにして、改めて考えていかなくてはいけない」と話した。集会には約100人が参加した。(金潤順記者)

[朝鮮新報 2010.8.6]