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「高校無償化」 文科省、内閣府に要請 院内集会も

「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会

文科省に要請書を提出した連絡会のメンバー

 「『高校無償化』からの朝鮮学校排除に反対する連絡会」の市民、朝鮮学校教職員、オモニ会役員などの同胞が27日、朝鮮高級学校の無償化即時適用を求め内閣総理大臣、文部科学大臣宛の要請書を内閣府、文部科学省にそれぞれ提出した。その後、参議院議員会館で院内集会を行った。文科省への要請には、参議院の福島みずほ議員(社民党党首)が同席した。この日の行動は、37年間にわたり朝鮮学校と交流してきた長谷川和男さん(東京都公立学校教職員組合)らが呼びかけたもの。朝鮮学校を支援する市民らのほか、教育関係の団体をはじめ146のさまざまな団体が賛同した。

内閣府に要請書を提出した連絡会のメンバー

 要請内容は、朝鮮学校への無償化排除は差別・人権侵害であり、「高校無償化」を即時適用し、公的助成を行うことの3点だった。

 文科省では高井美穂政務官らが、内閣府では大臣官房総務課の山田哲範調査役らがそれぞれ対応した。

 約30分間行われた文科省での要請には、連絡会の長谷川和男さん、森本孝子さん、佐々木克己さん、菊岡伸一さん、濱田すみれさん、金東鶴さん(在日本朝鮮人人権協会事務局長)、李政愛さん(西東京 朝鮮第2初級学校校長)、鄭成美さん(西東京第1初中級学校オモニ会副会長)が参加。同行した福島党首がまず発言し、「子どもの権利、法のもとの平等という観点から(朝鮮学校に)ぜひ高校の無償化をきちっと実現していただきたいということで今日は要望に来た」と述べた。

文科省前に集まった日本市民、同胞ら

 その後、各人がそれぞれ発言。李政愛校長は、無償化問題で生徒たちには学校を応援してくれる日本の人たちがたくさんいると教えているが、いたずら電話、同校看板にカミソリが張られるなどの被害もあったと述べ、「朝鮮学校にもぜひ無償化が適用されるようにしてもらいたい」と訴えた。

 菊岡伸一さんは、「私の地域では朝鮮学校(西東京第2初級)が災害時の避難場所になっている。町田では地域にひらかれた学校として開放され親しまれている。娘が通う小学校の展覧会には朝鮮学校の作品が飾られ、鮮やかなハングルの文字を見るのがいつも楽しみだ。なぜ(無償化から)排除されるのかわからないが、他の私立学校と同じようにぜひ無償化を実現してもらいたい」と語った。

 鄭成美副会長は、「朝鮮人、日本人ではなく、『同じ人』として思いやる気持ちについて考えてもらいたい」とオモニたちを代表し切実に話した。

院内集会の様子

 政務官は、「差別とか感情論ではなく、教育の中身よりも後期中等教育、いわゆる高等学校というものに値する過程をとっているという確認ができれば、やはり(無償化の)対象の範囲になりうるだろうという客観的な考え方で(判断を)したいと思っている。3月31日の法案成立後、検討委員会を立ち上げ検討してきた。8月中に結論を出すという従来の姿勢に変わりはない。最終報告を受け検討委員会が出した報告書にのっとって、そのあとの執行のことを考えたい」と応えた。

 約10分間行われた内閣府での要請には、連絡会の長谷川さん、森本さん、柏崎正憲さん、呉在根さん(西東京朝鮮第1初中教育会会長)が参加した。

 文科省、内閣府への要請後、参議院議員会館で「立川朝鮮学校(西東京朝鮮第1初中級学校)支援ネットワーク・ウリの会」、「全ての学校へ『高校授業料無償化』を! 練馬の会」など多くの団体から70余人の参加のもとで院内集会が行われた。

 連絡会窓口の長谷川さんは、「まだ安心できる状況ではないと改めて感じた。この間、在日の方、日本の方同士の交流が人と人をつなぎ社会を変えていく原点だということを改めて実感した。無償化問題で築かれた広い運動の輪をより広げ、この問題で心を痛めたたかっている人たちの思いをひとつに結集していきたい」と語った。

[朝鮮新報 2010.8.28]