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「高校無償化」 都内で全国集会とデモ 即時適用を

 日本の市民団体などが主催する「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する全国集会が9月26日、東京・永田町の社会文化会館で行われ、集会の趣旨に賛同した267の市民団体のメンバーをはじめ同胞、学生、日本市民ら1500人以上が参加した。集会には、全国の朝高の代表らが招かれ熱烈な声援を受けた。参加者たちは生徒や保護者、支援者の思いを聞き、「無償化」を勝ち取るまで手を取り合ってたたかうことを誓った。集会では、朝鮮学校への「無償化」即時適用と公的助成、差別是正を求める決議案が採択された。その後、デモが行われた。

連帯し勝ち取ろう

朝鮮学校への「無償化」適用を求め行進する参加者たち

 集会では国会議員、地方議員による報告のあと、9人の朝高生によるリレートークと4人の日本の高校生による連帯のあいさつがあった。

 朝高生たちはこれまで、自分たちの手で「無償化」を勝ち取ろうと、街頭での署名活動や集会参加を積極的に行ってきた。その過程で多くの市民の支援と励ましを受けた。そんな市民らに感謝しながら、「私たちにとって、ウリハッキョは宝物であり民族教育は誇りだ。権利を勝ち取るまでたたかう」と決意を述べた。会場は大きな拍手に包まれた。

 朝高の保護者代表や在日同胞1世のアピールも参加者の胸を打った。

 「子どもたちに笑顔で学校に通ってほしいというのが親心。無償化を勝ち取りみんなで喜び合えるよう、手を取り合ってがんばろう」

 続いて、関東、九州の代表らのリレートーク、賛同団体からの連帯アピールがあった。

 杉並区から参加した鳥生千恵さんは「互いの文化を認め合うことが平和の基本だ。日本で生まれた人々が日本を良い国だと思えるよう、その第一歩として朝鮮学校の学費が国の責任において無償になるべきだ」と訴えた。

 集会後はデモが行われた。参加者たちは「朝鮮学校にも無償化を」「国ぐるみの差別を許すな」などのシュプレヒコールを挙げながら、首相官邸、文部科学省、新橋、銀座を回り東京駅まで6キロ以上の道のりを行進した。

「もう待てない」

文部科学省前に差し掛かるとシュプレヒコールは一層大きくなった

 文部科学省は4月、「高校無償化」法施行の際に、朝鮮学校への適用を保留。専門家による「検討会議」に判断を委ねた。8月に適用をめぐる「判断基準」が公表され、朝鮮学校が基準を満たすことが明らかになったが、菅首相は民主党政策調査会で審査するよう指示した。同会は9月、部門会議を2日間にわたって開催し討議した結果、「検討会議」が示した「基準」を了承する方向で調整に入った。しかし、民主党代表選とそれに伴う「内閣改造」により、問題は後回しにされている状況だ。新任の高木義明文科相はまだ態度を明らかにしていない。

 朝鮮学校への「無償化」適用が2度、3度と見送られ、政府主導の差別によって生徒や保護者の不安が続いている状況に、「もう待てない」と参加した市民は怒りを露にした。とくに朝鮮学校や民族教育に対する誤解や偏見が日本政府の差別を容認する形になっていることに苛立ちを募らせている。

 登壇した地方議員やデモに参加した日本市民は「朝鮮学校に行ったことがなく知らない人が適用を邪魔している」「反日教育などと民族教育を中傷するのは、戦争責任から逃れようなどとやましいことを考えているからだ」と、地域での交流の大切さを訴えた。

 都立高校のある教員は「偏った報道が多いが、正確に情報を伝えれば、生徒たちは自ら判断する。ほとんどの生徒は、同じ高校生なので適用すべきだと言っている」と述べた。

 大阪からかけつけた日本の高校生は「最近、初めて朝鮮学校の存在を知ったが、なぜ同じ日本に住んでいるのに除外されるのか、意味がわからない。差別や偏見をなくすため、ともにたたかいたい」と述べた。(取材班)

[朝鮮新報 2010.9.28]