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東京で第12回日本・朝鮮教育シンポジウム 民族教育の保障が課題

「朝鮮学校を支援する会」の各地設立を

都内で行われた教育シンポ(13日)

 「第12回日本・朝鮮教育シンポジウム〜高校無償化の朝鮮高校即時適用と日朝国交正常化の実現を!〜」が13日、東京・千代田区の日本教育会館で行われた。北海道から沖縄までの全ブロックから120余人の朝・日教育関係者が集った。

 シンポでは主催団体を代表し、日本教職員組合の江藤創平国際部長、在日本朝鮮人教職員同盟の趙澣柱委員長、日本朝鮮学術教育交流協会の中村元気会長があいさつした。

 シンポでは、日本朝鮮学術教育交流協会事務局の大石忠雄さんによる基調報告があった。同氏は、朝鮮高級学校への「高校無償化」適用をめぐる問題、民主党政権の対朝鮮政策、日本の教育、朝鮮学校を取り巻く現況、国際人権規約と外国人学校、朝鮮学校の民族教育権などについて言及。とくに今回の「無償化」除外問題では、各地で数多くの組織、団体が運動を展開し、その活動に学びながら「支援する会」相互の連携が全国各地域に広がり運動が深まったと指摘した。そして今回のシンポを契機に、日本における教育革新運動の中に在日外国人の民族教育権を保障する課題を正しく位置づけ、運動の輪を広げていこうと呼びかけた。

 つづいて東京朝鮮中高級学校の慎吉雄校長が発言した。慎校長は、朝鮮学校では、母国語教育を通じて、アイデンティティーの確立を目指していると指摘。さらに一部のメディアで流されている朝鮮学校に対する偏向報道の過ちについて言及した。

 シンポでは、「『高校無償化』朝鮮高校適用問題の現段階と今後」と題して、日本朝鮮学術教育交流協会の園部守事務局長が特別報告を行った。園部事務局長は「無償化」問題の経過と運動の広がりについて言及し、「高校無償化」の実現は基本的人権の保障であり、後期中等教育の支援は国際的なスタンダードであると指摘。「無償化」問題で日本の排外主義の高まりが確認されたとし、これにいかに対処するかが課題であると強調した。また、「商品化」する日本の政治がファシズムの温床になりつつあるなか、健全な民主主義へと向かう問題解決の一つが「無償化」問題だと警鐘を鳴らし、「日本の中の民族教育をどう保障していくかが新たなテーマだ」と述べた。

 各県、各分野からの報告があった。新潟県教職員組合の乙川大さん、「民族教育の未来を考える・ネットワーク広島」の村上敏代表、「ヘイトスピーチに反対する会」の柏崎正憲さんらが発言し、無償化適用への思い、それぞれの活動などについて語った。

 東京中高学父母の韓英淑さんも発言。韓さんは、自身の受けてきた民族教育の権利が差別なく保障され、子どもたちにもしっかりと学ばせたいという母親の心情を訴えた。

 また、東京中高の李星燦さん(高2)さんは、「私たちの権利のために応援し、活動してきてくださった人々のため、そして私たちをやっとの思いで朝鮮学校に送り、民族教育を受けさせてくれる父母のため、いろんな権利を勝ち取ってこられた先輩たちの思いに応えるため、これから朝鮮学校に通うことになる後輩たちの権利を守るために最後まで『除外反対』『差別反対』を叫んでいきたい」と力強く話した。

 この日、採択されたアピール文は、当面の課題として、▼政府・文科省に対し、朝鮮学校に対し一日も早く「高校無償化」を適用するよう求める運動に中央・地方一体で引き続き取り組み、▼学校交流、地域交流の輪を広め、「朝鮮学校を支援する会」を各地につくり、朝・日友好親善のきずなをよりいっそう強め、▼多文化・多民族が共生できる平和・人権教育、平和を求める教育実践をいっそう進め、▼各自治体に対し、外国人学校への教育助成金の支給や増額運動に全国各地で取り組むことを訴えた。

 大石忠雄さんは閉会のあいさつで、「日本人の過去清算問題、在日への差別の問題は続いている。差別をなくし日本社会をより豊かにするため、これからも共にたたかおう」と呼びかけた。(李東浩)

[朝鮮新報 2010.11.17]