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そこが知りたいQ&A−2010年3紙共同社説の特徴は?

人民生活の「画期的転換」を前面に

 朝鮮労働党中央委員会機関紙の労働新聞、朝鮮人民軍最高司令部機関紙の朝鮮人民軍、金日成社会主義青年同盟中央委員会機関紙の青年前衛は1日、「党創建65周年を迎える今年、もう一度軽工業と農業に拍車をかけ、人民生活に画期的な転換をもたらそう」と題する共同社説を発表した。その内容と特徴についてQ&Aで見た。

 Q 今年をどのように位置付けているのか。

 A 冒頭で「革命的大高揚の偉大な新しい歴史を創造した勝利者としての大きな誇りを抱いて新年、2010年を迎えている」としたうえで、今年を「革命的大高揚の誇るべき勝利と成果に基づき、人民生活の向上に党と国をあげて力を集中すべき総攻勢の年」だと位置づけている。今年を「強盛大国建設史に特記すべき大変革の年」とする強い意志を表している。

 昨年については、「祖国の歴史に特筆すべき変革の年、人民のあらゆる理想が実現するすばらしい時代が開かれた劇的な転換の年」だったとしながら、人工衛星発射、核実験や城津製鋼連合企業所(咸鏡北道)でのチュチェ鉄生産システムの完成など、「強盛大国の大門を叩く驚くべき出来事」を列挙した。そして「国の経済が本格的な上昇段階に入った」と総括した。

 Q 今年の特徴は。

 A 経済に力点を置いていることが挙げられる。

 とくに、軽工業と農業だ。共同社説のタイトルにもあるように、これに拍車をかけることによって、人民生活に「画期的転換」をもたらすことを目標に掲げている。

 また、目標が抽象的でなく具体的だ。

 過去の共同社説のタイトル、「総進軍のラッパの音高らかに鳴り響かせ今年を新たな革命的大高揚の年として輝かそう」(09年)、「共和国創建60周年を迎える今年を祖国の歴史に刻まれる歴史的転換の年として輝かせよう」(08年)、「勝利の信念に満ちて先軍朝鮮の一大全盛期を開いていこう」(07年)、「遠大な抱負と信念をもってより高く飛躍しよう」(06年)などと比較してみると、具体性が際立っている。人民生活を前面に掲げている今年は、政策の方向性が明確だ。

 Q どのような政策課題が示されたのか。

 A 「大高揚の歩みは新たな局面を迎えている」「経済強国の頂をも極めることができる飛躍の土台がもたらされた」としながら、これらの成果が人民に実質的に行き渡るようにすることを強調している。「人民生活の向上に全力を集中」させ、これに「一大攻勢」をかけることを今年の政策の方向性として示した。人民生活の関連部門への国家的投資を大幅に増やすことや、対外市場の拡大、積極的な対外貿易活動によって人民生活向上に寄与するよう呼びかけている。ちなみに、95年から新年恒例となっている共同社説の中で対外経済関係の発展について言及がみられたのは08年くらいで、珍しい。

 共同社説は一方で「朝米間の敵対関係の終息」の重要性を強調するなど関係改善の意思を鮮明にしている。その中での「対外市場の拡大」「積極的な対外貿易活動」の言及は注目される。

 今年の具体的な課題を順にあげると、@軽工業、農業部門の潜在力発揮、A4大先行部門(金属、石炭、電力、鉄道運輸)を高揚させて人民生活向上を後押し、BCNC(コンピュータ数値制御)化を高い水準で実現、C無料治療制度、無料義務教育制度などの人民施策具現−となっている。

 Q 統一問題に関する言及は。

 A 例年になく多くの分量を割き、北南関係改善の意欲を強く示している。

 今年が6.15共同宣言発表10周年になる年だということを想起させながら、「自主統一の新たな局面を開く年として飾るべき」だと強調している。また、南当局に対して、「北南共同宣言を尊重し北南対話と関係改善の道に進むべき」だと直接呼びかけている。昨年とはうって変わり、南当局に対する批判はない。

 金正日総書記による玄貞恩・現代グループ会長との会見、特使弔問団ソウル派遣などに見られるように、北側は昨年8月から関係改善のための「主導的で大胆な措置」を講じてきた。「内外分裂主義勢力」の策動はあるが、「誠意ある努力」を継続して傾けていくという意思表示だと言える。

 6.15、10.4の両宣言にもとづいて北南関係を改善しようとする「われわれの立場は確固不動」だとも強調した。

 Q 対外関係は。

 A 対外関係の言及の中で、朝米関係を一番にあげている。

 「今日、朝鮮半島と地域の平和と安定を保障するうえでの根本問題は、朝米間の敵対関係を終息させること」だと強調した。そして、「対話と協議によって朝鮮半島の恒久平和体制を築き、非核化を実現しようとするのはわれわれの一貫した立場である」と指摘した。

 以前は対米関係について直接言及しないのが通例で、統一問題の中で「米国の対朝鮮敵視政策」などを非難してきた。

 今年の社説からは北南関係とともに朝米関係改善への強い意志が読み取れる。

 ちなみに、日本に対しては今回も言及自体なかった。

 Q このほか注目点は。

 A 社説のタイトルにもあるように、朝鮮労働党創建(1945年10月10日)65周年に特別な意義を付与している。そしてこの日を「民族史に特記すべく革命的大慶事」として輝かすことを強調している。

 朝鮮では節目となる記念日を重視し、大きな成果をもって盛大に記念するのが恒例となっている。国内では昨年から一貫して、党創建65周年を輝かせることが強調されている。

 今年を「大変革の年」と宣言しているだけに、画期的な出来事も十分に予想される。(姜イルク記者)

[朝鮮新報 2010.1.13]