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朝鮮 対外経済発展へ環境整備

羅先を特別市に 国防委主導で開発銀行設立

 朝鮮が対外経済活動拡大に向けて本格的に動き出している。元日の3紙共同社説は、経済建設と人民生活向上に寄与すべく「対外市場を拡大し、貿易活動を積極的に繰り広げる」ことを呼びかけた。昨年末から羅先市の特別市指定、国内法の整備などの措置を矢継ぎ早に講じ、今月20日には国家開発銀行設立の方針を打ち出した。

外資誘致の取り組み

昨年12月、投資環境整備の問題を話し合うため訪朝し、最高人民会議常任委員会の金永南委員長を表敬訪問する米国BENS(国家安全保障のためのビジネスエグゼクティブ)のチャールズ・ボイド会長兼最高経営責任者(左) [朝鮮中央通信=朝鮮通信]

 国家開発銀行を設立する方針は最高権力機関の国防委員会の決定として、20日、平壌市内で開かれた朝鮮大豊国際投資グループ理事会の第1回会議で発表された。

 同投資グループは2006年9月、香港で設立された。

 朝鮮中央通信によると、会議では国防委員会委員長命令「朝鮮大豊国際投資グループの活動を保障することについて」が伝えられた。また、国家開発銀行の設立と大豊国際投資グループ調整委員会の設立に関する国防委員会の決定も伝えられた。

 金養建・朝鮮アジア太平洋平和委員会(ア太)委員長がグループの理事長に、在中同胞の朴哲洙氏が常任副理事長兼総裁に選出された。

 理事会メンバーは国防委員会、内閣、財政省、ア太、大豊国際投資グループなどの代表7人。

 会議ではグループの規約草案、2010年度の事業計画および財政予算案、国家開発銀行設立準備委員会の稼働に関する決定書をはじめ、グループの事業に関連した案件を審議、議決した。

 金養建理事長が基調報告を行い、朴哲洙総裁がグループの事業に関して発言した。

 朝鮮中央通信によると、大豊国際投資グループは対外経済協力機関であり、「国家開発銀行に対する投資誘致および資金源泉を保障する経済連合体」として活動を行う。本部は平壌に置かれる。

 一方、国家開発銀行は国際的な金融機構や商業銀行と取り引きできる金融規範と体系を備え、国家政策に沿って重要対象に対する投資業務を行うことになるという。

貿易の重要性強調

 最高人民会議常任委員会が4日付の政令で発表した羅先市(咸鏡北道)の特別市指定は、貿易事業発展という国の方針を示す措置として内外で関心を集めた。同市は朝鮮北東部の豆満江下流地域に位置しており、中国、ロシアと国境を接している。

 羅先市の特別市昇格に関する詳細は明らかにされていないが、経済貿易地帯である同市の開発に再び拍車をかけるための措置だと思われる。

 1991年12月、羅津市と先鋒郡に自由経済貿易地帯を設置する政務院(当時)決定が採択され、朝鮮で初の経済特区となる羅津−先鋒自由経済貿易地帯の創設が発表された。

 その後、93年1月に自由経済貿易地帯法が制定され、99年2月、羅津−先鋒経済貿易地帯法に改正された。2000年9月には行政区域名が羅先市に改称された。

 金正日総書記は昨年12月、1991年の自由経済貿易地帯創設以来初めて同市を訪れ、貿易の重要性を強調し対外市場の拡大を呼びかけた。総書記は同市を「重要な対外貿易拠点の一つ」だと指摘。鉄道・海上運輸部門の発展、輸出規律の厳守、品質の向上など対外貿易を発展させるうえでの課題を示した。

 また、RFA(自由アジア放送)は22日、朝鮮の経済代表団が投資誘致のために来月、オランダを訪問すると伝えた。朝鮮代表団は現地でオランダ企業を対象にした非公開の投資説明会を開く予定で、分野は情報技術、繊維、農業、鉱物、観光、再生エネルギーなどになるという。

 昨年末から、輸出品原産地法をはじめとする関連法を採択するなど、国内の法整備も進めている。

 北南経済協力事業拡大のための対策も講じている。

北南経済協力も

 昨年12月、中国、ベトナムの工業団地に対する北と南の合同視察が行われた。これは開城工業地区事業と関連して企画されたものだ。

 合同視察団は13日から中国の青島、蘇州、深圳にある工業団地を訪問、各工業団地の投資環境や運営システムの実態を見て回った。19〜22日にはベトナムの工業団地を訪問した。

 合同視察の結果を受けて、今月19〜21日、開城工業地区活性化のための北南実務接触が同工業地区内で行われた。

[朝鮮新報 2010.1.25]